麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

長江-乗合い船

2013年03月18日 | 鑑賞
昨日公演が終わった
劇団東演の芝居について。
(文中敬称略)

1998年に初演し、再演を経て
日本の様々な都市、どころか
作品の生まれた中国でも
上演する迄に成長した舞台
『長江―乗合い船』。

その巡演が納まった2004年以来、
蘇った中国の現代劇が
産声をあげた東演パラータに
還ってきた。

キャストをほぼ一新。
そして演出が鈴木完一郎から
原田一樹にかわったことで
作品は大きく変貌した。

サッカーに例えるなら、
鈴木の求めたのは
ムービングフットボールだった。

方先生役の山田珠真子、
高船長役の小高三良を中央に、
サイドには能登剛、久瀬新子
(のちに青木成美、古田美奈子。
役名は前者が劉強、後者が米玲)を
配しながらも、
ボールを持ったプレーヤーは
ドリブルで仕掛けて、
周りがそれに連動し、
激しくポジションを入れ替える
アグレッシブなスタイルだった。

ドラマチックな音楽を
ふんだんに使うなど
パンチの利いた濃い口の
『長江』という言い方もできるか。

かたや原田版は、
山田(方先生)をワントップに据え、
小高に代わり船長役を務めた
佐々木梅治(客演)をトップ下と
二人を縦に並べて、
ボールを中央で一度落ち着かせ
ゆっくりと展開するサッカーだった。

雷子役から劉強役に一列前に
ポジションを上げた南保大樹や
南保の位置に入った清川佑介の
オーバーラップに、佐々木から
正確なパスが供給される、
見ていて安心できる
オーソドックスなゲーム運び。

あっさりとした口当たりながら
出汁にこだわった『長江』。

好みは分かれるのだろうが、
いずれにしろ良質な舞台が
新しい船出をしたことだけは確かだ。

*****
劇団東演第140回公演
『長江-乗合い船』
作/沈虹光、翻訳/菱沼彬晁
演出/原田一樹
2013年3月5日(火)~17日(日)
東演パラータ
コメント
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