仲秋の名月を、武蔵小金井駅を降りて
現代座会館へ向かう道すがら
拝むことができた。
「曇り空の雲の隙間に、もしや」と
各局の気象予報士が言っていたから、
ラッキーだったのだろう。
そもそも、彗星やナンチャラムーン的な
天体ショーに疎くて
朝ニュースで見聞きして、その時は
「夜空を見上げよう」と思うのに、
大概は芝居を観て、その後仲間と盃を重ね、
翌朝鮮やかに映る星や月をワイドショーで眺め、
「しまった、また見逃した」と
そうして半世紀以上生きてきたので、
今回のライブビューは珍しい。
筆者が珍しく見上げた空には
やはり〈珍しい〉未確認飛行物体が
右上に5機写りこんでしまいました。
まんまるなお月様に導かれて、
たどりついた舞台は
『 わすれものはありませんか?』
(作/武本武之、補作・演出/木村快、
共同演出/黒澤義之、主催/現代座)
移動支援とタクシードライバーの物語で、
つまりは福祉に関わる作品。
2008年初演ののち二年に渡り上演。
その後、作者が18年急逝し、コロナ禍に。
追悼公演に着手できぬまま漸く今回、
新しいキャストによる再演となったそう。
そして、前述のテーマゆえ、現代にも充分、
いや今にこそ必要な舞台であった。