図書館から借りていた 藤沢周平著「漆黒の霧の中で・彫師伊之助捕物覚え」(新潮文庫)を 読み終えた。
先日読んだ「消えた女・彫師伊之助捕物覚え」に次ぐ 「彫師伊之助捕物覚えシリーズ」の第2弾である。
「漆黒の霧の中で・彫師伊之助捕物覚え」
前作と同様、主人公は 元凄腕の岡っ引きで 版木彫師の伊之助、
早出して仕事を片付けるつもりだった伊之助が 前日仕事仲間峰吉と遅くまで飲み 二日酔い気味で 仕事場彫藤へ向かったのは かなり日が高く昇ってからになってしまったが その途中 堅川で 不審な水死体を見かけるところから物語が始まっている。
仕事場彫藤に かって手札を受けていた同心半沢の同僚で、南町奉行所同心石塚が訪ねてきて 伊之助は 水死体の身元を調べて欲しいと依頼され 引き受ける。彫師の仕事をしながらの掛け持ち探索、元岡っ引きであることを隠している伊之助とそれを知らない彫藤の親方とは 遅刻、早退 抜け出しで 毎度揉めるが 緊張の連続の物語の随所に有って その掛け合いは なんとも息抜きになっている。
わずかな情報から丹念に歩き廻る伊之助、それでもなかなか 殺された七蔵、実は七之助の素性がはっきりしなかったが やがて七蔵の妻おさきの行方が鍵になり 次第に深みにはまっていく。
伊之助が探索を続ける間にも、第2、第3の殺人が起こり 伊之助も襲われる。
大店の主人や寺僧、大奥の奥女中等も絡み 最後には 謎の殺人鬼との立ち回りが有る等、大江戸の下町を舞台にしたハードボイルドタッチの捕物小説。長編だが やはり 引き込まれて 一気に読んでしまった。
「彫師伊之助捕物覚えシリーズ」には 第3弾(最終作) 「ささやく河・彫師伊之助捕物覚え」が有る。
続いて 読んでみようと思っている。