7年も前、2014年5月20日、
「gooブログ」に引っ越してくる前、「OCNブログ人」時代に書き込んでいた記事を、
コピペ、リメイク(再編集)してみた。
「石廊崎の少女」(再)
記憶から完全に喪失していた物が、最近、不要雑物身辺整理中に出てきた。若かりし頃、若気の至りで、書きなぐっていたと思われる詩の類である。不揃いの便箋やレポート用紙等に、バラバラと走り書きしたような代物で、色褪せてカビ臭い茶封筒に詰まっていた。そのまま、ゴミ箱行きにすれば良さそうな物だが、数十年ぶりに目にして、タイムカプセルを開けるが如く、ある種、感動さえ覚えてしまい、全てを捨て去る前に、「青春の思い出の欠片」として ブログに書き留め置こう等と考えてしまった。今の爺さんには、気恥ずかしく、冷や汗が出るような、ぞっとするような、拙劣な詩の類ばかりだが、恥じも外聞もなく、そのまんま・・・・。
その中に、「石廊崎の少女」と題した詩(もどき)が有る。「昭和43年5月19日」の日付が記されており、今から53年も前、当時、静岡県浜名郡舞阪町に有った独身寮に暮らしていた数年間に書いたもののようだ。マイカー等まだ夢だった時代、休日は レコードを聴いたり、同室の先輩とヘボ碁を打ったり、親しい同寮友人等と、舞阪、浜名湖、弁天島、新居等を、ぶらつくことくらいしか、無かったような気がしているが、ある時、勤務先の同僚先輩3人に、かなり強引に誘われて、南伊豆方面へ1泊2日の慰安旅行をしたことが有った。もちろん、列車、バスを乗り継いでいく旅行であり、かなり強行スケジュールだったと思うが、南奥伊豆、静岡県松崎町の大沢温泉に宿泊、河津、下田、石廊崎まで、足を伸ばしたような気がするが、写真が極くわずかしかなく、なかなか記憶が炙り出てこない。
「雨の石廊崎にて」、「途中のバス車内にて」とも、記されており、記憶曖昧だが、石廊崎では、雨だったようだ。トコトコ走る路線バスの中で、旅の感傷と妄想で、メモしたのかも知れない。50数年後に、他人様に公開される等とは、当時、想像も出来なかった詩の類、よくもまあ、これまで仕舞い込んでいたものよ、我ながらあきれてしまっている。
アルバムに貼ってあった古い写真、
多分、石廊崎の写真だと思われる。
「石廊崎の少女」
そぼふる雨に
しっとり濡れた岩肌で
かわいい花を見つけたと
私に告げた少女
その白くやさしい手のひらに
ぽっちり小さく咲いていた
可憐な野の花
薄紅の花びらが
潮風にゆれていた
石廊崎に 黒潮が砕け
歯をむいて しぶきが吹き上げる
その岸壁に ひっそり秘かに
誰をか待って 咲いていた
その名も知らぬ 野の花
美しい(いとしい)花
私は 少女の汚れない笑顔と
それを 見比べた
二つの美しい(いとしい)ものよ
爽やかなるものよ
私は 少女を とても好きになっていた
ぱっちり 瞳が愛らしく
長い黒髪が いとしい
野の花は 小さな幸せ
はにかんだ少女は
その花を そっと 私に差しのべた
しっぽり 雨に濡れていく
我が身も忘れて
しばし 石廊崎に咲いた
美しい光景に感謝した。
(昭和43年5月19日)