河出書房新社 2009年~2018年
人間が人間をたべることは現実にはむずかしいらしい。
そういう死体をたべる部族もいたらしいが、みんなゲラ
ゲラ笑って狂ってしまったという。という、遺体をたべる
慣習のある世界を描いた生命式で幕を開ける、新たな
伝説となる短編集。
これはただならぬ短編集だ、と肝に銘じて、読み進める
が、どういうわけか、半ばくらいで、どーでもいーわ、読書?
そんなことどーでもえーわ的な気分に陥ってしまった、が、
後半は一気よみした。
「街を食べる」では、これまでの読書体験では得られなか
ったスリリングな文章でよませる。
コンピュータの内臓をみるような、ちょっと逆説的な見方
かもしれないが、そんな感じを抱いた。
性欲、セックス、物欲、料理といった、人間の根源的なこと
に村田女史の目はとことん優しく注がれてゆく。
ボクも村田女史の胸の中で、文学という胸に抱かれ眠り
たい、と狂気的に思いつめるのだった……合掌。
(鶴岡 卓哉)