隠居らしき身の木原氏が麻衣子さんに幽霊屋敷のような
ところに連れられて行き、だんだんうつつ身でなくな
ってゆく。
なんか冒頭から洒脱なんだよね。シェリー酒とかさ。都会的
で洗練されている感覚がある。それでいて、文学的、ヒジョー
に文学的なニオイがする。
とうとうこの世から消えてなくなってしまう木原氏だが、そこ
がこの掌篇のポイントだ。この世界と訣別したいという願いが
成就される、という、いわゆるハッピーエンドだ、とぼくはみる
のだが。......合掌。