「群像」昭和44年7月号
主人公の弟のことを描いた小説で、弟は
障害があって、不甲斐ない死に方をしてし
まった。
なんかすごく暗い小説で、ぼくの気分も
一気に落ち込んで、中二の時、ぼくに告
ってきた、はにわみたいな顔をした少女
のことを思いだしてしまった。その少女
とはなんの発展もない、知りもしない子
だったのだが、ある日、ラブレターを渡
してきた。ぼくは冗談かと思って、握り
つぶしてしまった。それが、ずっと、ぼくの
心に引っかかっていて、ときに、あの少女は
どうしているのだろうか、と思い、ああ、もう
50も過ぎてババアになってしまっているのか
とぼんやりと思ったりしている。
それで、この小説だが、ダークな気分になりたい
のなら、一発で、イヤなことやなんかを誘発し
てくれるだろう。いや、悪いけど、この人はもう
勘弁してほしい。耐えられそうにないから、暗い
のはけっこう好きだが、いかんせん、病むほど暗い
のはちょっと。
(読了日 2023年10・6(金)1:50)