「乳の海」所収。
そういえば、春日部に住んでいたころに近所の
犬が17:00に夕焼け小焼けが流れると、歌
っていたのを思い出した。その遠吠えは悲痛な
声で、それを聴く度、この身が切なくなった。
と、藤原氏は60、70年代の歌謡曲と80年代
の楽曲を比較、分析してゆく。80年代において、
突然の如く、歌手たちが声変わりしていたらしく
有機的な記号がことごとく消滅してしまったと
いうんである。
あのマフィンの精製された小麦でつくられた
たべものの食感の如く、すべての感覚を失った
ようなもの。「草塩の村」には三週間以上滞在
していたという。