新潮文庫 昭和43年
昔、野坂氏が11PMに出ていて、大事なもの
は? と聞かれ、白飯や、と答えていたのが、
印象的だった。今日び、大事なものを白飯
と答え得る作家は皆無だろう、
サクマドロップが映画でも印象的に使われていた。
切ない話で、不憫で泣けてくる。清太は餓死してし
まうのだが、節子という妹も餓死してしまう。
なんかとてつもなくやるせなくなってくる。独自の
文体がとても心地いい、哀しく切なくなりたくな
ったら、時々、読むといいかもしれない。
食べものの大事さもひしひしと伝わってくるし。
(鶴岡 卓哉)