文春文庫 昭和六十年
吉村氏が過ごした戦前の幼少期の日常生活
を描く。
東京の下町は現代と違って、衛生的にかなり
問題があってトイレは汲み取りだし、子ども
たちは疫痢に罹り、すぐに死んだりしたと云う。
食べものは特に注意して親が管理していて、熱
が出たりすると、大騒ぎだったという。
吉村氏が呆れたおいしさだと思ったのは、戦前の
カレーそばだ。これに勝るものはないと信じたい
がためにカレーそばを食べないのだ、という。
章とところどころに永田力氏の昭和な味わいの
繪(繪と表記したくなる絵だ)が挿入してある。
オール讀物に昭和五十八年から一年半にわたって
連載していたエッセイを本にしたもので、2017年
に新装版になっている。
(読了日 2025年2・4(火)19:20)
(鶴岡 卓哉)
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