日々、読書をする人が増えてくれればいい
のだが、と思っていて、昨日も、古本カフ
ェの前に立って、声を掛けさせていただい
ている、読書普及協会(そんなものありはしない。
本気にしないでください)の広島支部会員番号一番
の鶴岡だが、いつも、古本ありますよ、と云っ
ても、鼻でせせら笑われるだけで何の意味もな
いようだ。
ただ、疎んじられるだけだ。それでも、めげずに、
暖かくなって来たので、人も出るので、今日も
声を掛けて行こうかと思っているのだが、止め
た方がいいのだろうか。けど、昨日、教室に来て
くれた人は五回くらい入ろうかどうしようか、迷った
と仰っていたので、そう云う人の為にも、声を掛け
て行こう。
では、今日は、吉村昭氏の花渡る海です。
中公文庫 昭和六十年
最近、漂流、遭難ものをよく読んでいるが、この長編
は、広島出身の久蔵や吉五郎を追った、千石船で漂流
し、ロシアに流れ着いた男たちの物語であった。
これは久蔵の書いたと云う「魯齊亜国漂流聞書」を
元に書かれているらしい。が、吉村氏のイマジネーション
によって、382Pに及ぶ長大な物語もまったく飽きる
ことなく読むことが出来る。後半はロシアから帰って来た
久蔵の天然痘に関する叙述に割かれているが、ぼくが
思ったのは、今でもそうだが、広島と云う土地柄はあまり、
外部から来たものは受け入れたがらない排他的な体質な
のだな、と云うことである。その割に新しもの好きで、
直ぐに飽きてしまう。花渡る海の花とは天然痘を子供の
腕に植えて花咲くことを意味するそうである。
(読了日 2025年2・12(水)22:05)
(鶴岡 卓哉)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます