古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

今夜すべてのバーで      中島らも

2021-12-25 07:10:56 | 小説の紹介

講談社文庫      1991年

 

日本文学には、たしかに病気文學というジャンルがあるらしい

 

が、これは飲酒文學とでもいったらいいのか。35歳で肝硬変に

 

なりそうになり、コーラ色になって、入院したときのことが描か

 

れている。

 

あとがき的に山田風太郎氏との対談がのっていて、ガンガン飲んでいて

 

ぜんぜん治ってへんやん、、52歳でしぬはずや、とツッコミを入れ

 

ておいた。

 

この小説では、ふらっと外にでて、呑んで帰ってくると、医師の赤河が

 

いて、遺体安置所にメチルアルコールを呑みに、連れていかれると、

 

17歳のその前の日にも喋ったりしていた少年が死んでいて、お前の

 

腐った20年をくれてやれよ、と言って殴り合いになる場面がグッと来た。

 

この小説の一番いい場面だ。

 

中島美代子女史の本を読みながらだったので、深く読めた。

 

吉川英治文学新人賞を獲った出世作でもある。……合掌。

 


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