新潮文庫 昭和三十四年
実に、それは不思議なことであった、とはじまる
短編。脊椎が、どうやらおかしい、と云う主人公
の耳に蛾が入り込み、うごく度にバタバタと気も
狂わんばかりに、気狂い踊りを踊るようになって
ちょっとヘンな軍上がりの医師のやっている病院
のことが出て来て、ぼくは中盤では、ほんとは蛾
なんか入り込んでいなくて、気が狂ったのではないか、
と思った。一昨日後、そのヘンな病院に行き、あまりに
くだらな過ぎる、と書いてあるが、ボール紙の筒と
懐中電灯を妻のさち子に運ばせ、蛾を取り出した。それ
は足元でひくひくとうごいていた。
(読了日 2024年11・22(金)15:15)
(鶴岡 卓哉)
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