古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

孤島     鶴岡 卓哉

2018-04-12 11:30:29 | ポエム
絶海の孤独と戦いながら


閉ざされた世界に監禁された


誘惑をはねのけて、絶食を繰り返す


付け狙うのは黒い豹の鋭い目


脱出する手立てを考えるべきか


ボクはこの地が割りと気に入ってしまった


ストイックに彩られ、空腹と節約の日々



電話も鳴らず……手紙も来ず


ボクは陸の孤島で、ひとり抜け出す口実を見つけ


られずに確信している……ボクは生きている、と
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唐揚げ      鶴岡 卓哉

2018-04-11 09:55:11 | ポエム
禁断の小箱を開けると、ボクは



別世界にいた……狂ってしまったんだ


ボクはこれを待ってたんだ……トンでる気分だ


小さな船がボクを乗せ……海原にひとり


小箱の中の世界で泳いでいるんだ


この世界は誰のものでもなく


誰でも受け入れてくれる


ちょっと狂っている


そうだ……理想を追い求めれば



ボクの屍は、唐揚げにしてくれよ


ボクは唐揚げになりたかったんだ
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さよなら クリストファー・ロビン   高橋源一郎

2018-04-10 10:58:00 | 小説の紹介
新潮社  2012年。


短編集である。またしても、いつも出てくる鉄腕アトムの


オマージュとおぼしき、「お伽草子」。不可思議な源一郎


ワールドが繰り広げられる。子どもというものは、どこまでも



子供っぽく描かれている。小説の中では、大抵、大人びて子供


らしさが欠如していて、ボクなんかは、大人子供が出てくる小


説は大嫌いなのだが、高橋氏の子供はなぜかイヤじゃない。



それは、高橋氏が、多分に子供っぽいところがあるからなので



はないか、と思うのだが。教授にこんなことを言っては失礼か。



でも、良い意味で。


だから、ボクは源一郎作品をいつも新鮮な驚きをもって読めるの



だと思う。
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ミヤザワ・ケンジ・グレーテストヒッツ   高橋源一郎

2018-04-07 10:22:56 | 小説の紹介
2002年1月号~2004年「すばる」


時折顔を見せるエロティシズム……高橋源一郎は、すけべえな作家である。



神話から発する呪詛の言葉を探し、作家は彷徨する。


作家のすべては特別な言葉というものを探しているものなのかもしれない。


どこかに「それ」があり、「それ」に振り回される。そして、「それ」は



まぎれもない自分自身だと気づかされるのだ。



聖処女なみちゃんから、猫の事務所まで、高橋氏のイマジネーションは横溢に


走り回る。


ボクらは読書を通じて、彼のイマジンに耳を傾けていく、そこには、恐ろしく


巨大な「それ」が佇み、ボクらを見下ろすだろう。
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流しの下のうーちゃん    吉村萬壱

2018-04-06 15:36:36 | 本の紹介
絵は、うーん、うまいとは言えないのではるまいか。でも、


おもしろいとは思う。果たして、これが芥川賞作家だから


許されたのか、分からないが、イメージの横溢する感じ、


国家に買われているところといい、歩ラード病を確かに彷彿



とさせる。


マンガのことはよく分からないけど、漫画家からしたら戯れ事


なのではないだろうか、という危惧はある。



ただ無性に久しぶりにモンハンがやりたくなったのはどういうわ



けだろうか?
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荒野の胃袋     井上荒野

2018-04-05 09:39:00 | 小説の紹介
荒野という名前は小説家であった父上がつけた本名という


ことだ。このタイトルもなんかスゴいことになっている。


中身は夢の中の魚屋の地図と重複するところがあるが、また


同じ話を読むのも、違う角度から見られておもしろい。


おいしい話しには気をつけろ、とはよく言うが、この手のお



いしい話しがボクは好物である。


旦那さんが出てくると、おっ、なんだね、君の旦那はそんなか



ね、とつい友人のような気になってくる。


父上の話もボクは興味深く読むことができる。荒野さんの弟、


じゃなく、兄になった気分に……はさすがになれなかったが、


よく知った親戚のおじさんくらいの気分にはなれた。
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RPG 鶴岡 卓哉

2018-04-04 09:42:30 | ポエム
君の心の扉はまだ開かれていない


鍵を持った誰かと会わないと


赤いライオンは君を咥えて離さない


花束を隠し持ったこびとが君に挨拶する


迷宮の入り口で君は三回咳をする


真っ黒い泉で君はダメージを受ける


もう進むことは叶わない


ボクはそんなとき君と会った


ボクは死に損ないのソルジャーで


お金も2Gしか持っていなかったから


助け合って迷宮を抜け出た


安宿で仮眠してから、ボクらは


12Gなんとか稼いで、メシを食った


あの扉は開かないまま


ボクらは草原で寝転がったんだ
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