角川文庫 昭和35年
戦争中に米人捕虜の人体実験をした人たちの話。
歴史は人がつくっていくということか。歴史は決して、国家
のみの問題ではない、といいたいのだろうか。
米人を殺してしまうことや、医学にかこつけての人体実験の
問題を浮き彫りにする。
実際に九大で起こった事件らしいが、リアルとは、その様相は
かなり違うらしい。より、これは小説的におもしろく、といって
は誤弊があるが、読み物として成立するように描かれているらし
い。
実際、この小説は周作氏の出世作だし、すごく読ませる、引き
込まれるし、人間が動いている。
僕がこの立場で、やれと言われれば、まあ、言われることはないと
思いますが、きちんと断れる人間でいたいと思います。……合掌。