酒井昭伸・訳 ハヤカワ文庫 2000年
前半はとてもおもしろかった。レイチェルがハイペリオンでの
事故で、歳が若返ってしまい、同時に記憶を失ってしまう病に
かかってしまうという話し。そして、レイチェルは赤ん坊にな
り、ハイペリオンをその父と目指す。その他、二名の話がのって
いると思うのだが、後半は正直、よく分からなかった。それも
禁句の美しさを筆舌に尽くしがたかった、と表現してしまっている。
これはいけない。怠慢だ。作家たるもの、筆舌に尽くしがたい、などと
筆を滑らせてはいけない。いいところもたくさんあって、SF的表現
にも秀でているところもあったっていうのに、台無しである。
けど、SFのいいおもしろさも〈上〉で存分に味わえたと思う。いや、
SFはいいですよ、すごく。ぼくはSFに可能性を見出したい。……合掌。