微妙に変化する三角関係の妙
* * * * * * * *
病気の女の子の話は嫌いといいながら、実はこれも病気の女の子の話。
けれど、よくあるお涙ちょうだいのストーリーではなく、ひと味違うのです。
それは、彼女を見守る男の子の方の事情。
イーノックは、交通事故で両親を亡くし、
また自らもその事故で長く昏睡状態の末、奇跡的に目覚めるという体験をしています。
そしてその時から、普通では見えないモノが見えるようになった。
それは、なぜか日本の特攻隊、ヒロシの幽霊。
これが加瀬亮なんで本当にユニークですね!!
ヒロシは幽霊といっても全然怖くありません。
突然両親を亡くしたイーノックに寄り添い、彼の孤独を癒やしているかのよう。
イーノックは、自分が昏睡状態のうちに両親の葬儀が行われたため、
両親の死を受け入れることができないのです。
自らも非常に死に近いところにいたのに、死というモノがよくわからない。
死とは全く「無」なのか・・・。
それで、イーノックは見知らぬ他人の葬式に紛れ込んだりして、答えを出そうとしています。
そんなときに出会った少女が、難病で余命3ヶ月を宣告されたアナベル。
不思議にひかれ合う二人は、
病気のこと、いつも一緒にいるヒロシのこと、
お互いのことを打ち明けながら、
アナベルの最後の時までを過ごすのです。
この物語は、少女の「死」を受け入れることによってまた、
自らの生をも受け入れていく少年のストーリーといってもいいでしょう。
命は消えてしまっても、消えないものが残る。
多分その「消えない何か」の象徴がヒロシなのですね。
特攻という形で、自らの意志にかかわらず死んでいかなければならなかったヒロシ。
彼は思い残したことがあったために、この世に留まっていたのでしょうか。
一方、アナベルは、強いのです!!
自らの死を受け入れ、泣き言を言わず、最後まで精一杯生きようとする。
だからこそ、イーノックを逆に支えているかのようにも見受けられる。
彼女は自分の葬儀のプロデュースまでしますね。
「エンディングノート」のおじさま並みにたくましい。
やっぱり、今時の女性像だなあ・・・。
・・・というようなわけで、
現代のアメリカの日常を描きながら、
日本の飛行服に身を固めた幽霊、というものすごいミスマッチが、なんだか自然に見えてきて、
そして強烈な印象となって残りました。
加瀬亮の淡々とした感じが、いい味出しています。
お互いが見えて、よくわかるイーノック・ヒロシ VS その関係に飛び込んでいくアナベル
生きて気持ちを通い合わそうとするイーノック・アナベル VS 死者ヒロシ
そして最後には生きているイーノック VS あちらの世界のアナベル・ヒロシ
このように微妙に変化していく三角関係の妙といいますか、化学変化、
それがこの作品の持ち味なのだと思います。
イーノック少年役のヘンリー・ホッパーは故デニス・ホッパーのご子息。
アナベル役は、「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカ。
このユニークな配役も、化学変化を助けています。
2010年/アメリカ/90分
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:ヘンリー・ホッパー、ミア・ワシコウスカ、加瀬亮、シュイラー・フィスク
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病気の女の子の話は嫌いといいながら、実はこれも病気の女の子の話。
けれど、よくあるお涙ちょうだいのストーリーではなく、ひと味違うのです。
それは、彼女を見守る男の子の方の事情。
イーノックは、交通事故で両親を亡くし、
また自らもその事故で長く昏睡状態の末、奇跡的に目覚めるという体験をしています。
そしてその時から、普通では見えないモノが見えるようになった。
それは、なぜか日本の特攻隊、ヒロシの幽霊。
これが加瀬亮なんで本当にユニークですね!!
ヒロシは幽霊といっても全然怖くありません。
突然両親を亡くしたイーノックに寄り添い、彼の孤独を癒やしているかのよう。
イーノックは、自分が昏睡状態のうちに両親の葬儀が行われたため、
両親の死を受け入れることができないのです。
自らも非常に死に近いところにいたのに、死というモノがよくわからない。
死とは全く「無」なのか・・・。
それで、イーノックは見知らぬ他人の葬式に紛れ込んだりして、答えを出そうとしています。
そんなときに出会った少女が、難病で余命3ヶ月を宣告されたアナベル。
不思議にひかれ合う二人は、
病気のこと、いつも一緒にいるヒロシのこと、
お互いのことを打ち明けながら、
アナベルの最後の時までを過ごすのです。
この物語は、少女の「死」を受け入れることによってまた、
自らの生をも受け入れていく少年のストーリーといってもいいでしょう。
命は消えてしまっても、消えないものが残る。
多分その「消えない何か」の象徴がヒロシなのですね。
特攻という形で、自らの意志にかかわらず死んでいかなければならなかったヒロシ。
彼は思い残したことがあったために、この世に留まっていたのでしょうか。
一方、アナベルは、強いのです!!
自らの死を受け入れ、泣き言を言わず、最後まで精一杯生きようとする。
だからこそ、イーノックを逆に支えているかのようにも見受けられる。
彼女は自分の葬儀のプロデュースまでしますね。
「エンディングノート」のおじさま並みにたくましい。
やっぱり、今時の女性像だなあ・・・。
・・・というようなわけで、
現代のアメリカの日常を描きながら、
日本の飛行服に身を固めた幽霊、というものすごいミスマッチが、なんだか自然に見えてきて、
そして強烈な印象となって残りました。
加瀬亮の淡々とした感じが、いい味出しています。
お互いが見えて、よくわかるイーノック・ヒロシ VS その関係に飛び込んでいくアナベル
生きて気持ちを通い合わそうとするイーノック・アナベル VS 死者ヒロシ
そして最後には生きているイーノック VS あちらの世界のアナベル・ヒロシ
このように微妙に変化していく三角関係の妙といいますか、化学変化、
それがこの作品の持ち味なのだと思います。
イーノック少年役のヘンリー・ホッパーは故デニス・ホッパーのご子息。
アナベル役は、「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカ。
このユニークな配役も、化学変化を助けています。
2010年/アメリカ/90分
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:ヘンリー・ホッパー、ミア・ワシコウスカ、加瀬亮、シュイラー・フィスク