映画と本の『たんぽぽ館』

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「先生と僕」坂木司 

2012年02月02日 | 本(ミステリ)
中学生によるミステリのススメ

先生と僕 (双葉文庫)
坂木 司
双葉社


                 * * * * * * * *

大学の推理小説研究会に入った、こわがりの伊藤二葉。
ひょんなことから彼は中学一年瀬川隼人の家庭教師を引き受けることになります。
ところが実は、この家庭教師のバイトは偽装。
隼人は非常に頭の切れる美少年。
家庭教師なんかつけなくても一人で勉強は十分。
しかし、母親があまり心配するので二葉に声をかけ、
家庭教師のフリをしてもらうことになったのです。
そしてなんと二葉は、逆にミステリについての手ほどきを隼人少年から受けることに。
つまり、この表題の「先生と僕」というのは、
先生=隼人少年、僕=大学生の二葉ということなのです。
二葉は大変気が弱く心配性なので、「殺人事件」など、本を読むだけで恐ろしくて怖じ気づいてしまう。
そこで隼人は殺人の出てこないミステリ、
すなわちミステリ用語で言うところの「日常の謎」ですね、そういうミステリを紹介します。


でも、この本はこれらミステリの内容を書いているのではなく、
二人が身の回りにおこる小さな事件、日常の謎を解き明かしていくという趣向です。
探偵役はもちろん隼人少年の方。
彼は非常に頭の回転がよくて大人びているのです。
ちょっぴり冷めた目で世の中を見ています。
けれど、見た目はジャニーズ系の美少年。
だから彼は事件の聞き込みにはわざとかわいらしいフリをするのです。
でも実際の彼はそこらの大人よりよほど大人。
この辺のギャップが、コナン君を思い出させ、とても楽しい。


さてでは隼人君推薦の本をご紹介しましょう。

江戸川乱歩「二銭銅貨」、「押絵と旅する男」

アーサー・コナン・ドイル「シャーロック・ホームズの叡智」

アイザック・アシモフ「黒後家蜘蛛の会」

リリアン・J・ブラウン「猫は手がかりを読む」

ドナルド・E・ウェストレイク「天から降ってきた泥棒」

北村薫「六の宮の姫君」


おやおや・・・私が読んだことがあるのは北村薫だけだったりする。
(でも、この「円紫さんと私」のシリーズは大好きで、全部読んでいます。)
それにしても情けないですね。
乱歩くらいは今度読んでみましょう・・・。
といいつつ、なかなか読む順番になりそうにない。


「先生と僕」坂木司 双葉文庫
満足度★★★☆☆