これぞ、歌の力
* * * * * * * * * *
近頃老人問題がテーマの作品には食傷気味で、
本作も見なくてもいいか・・・と思っていたのです。
そもそも自分自身が老境に差しかかろうという時に、
身につまされすぎといいますか・・・、
イヤわざわざ映画でいわれなくても考えてるから
・・・と言いたくなってしまう。
しかし、この日は「真夏の方程式」とどうもうまく繋げられる作品がなくて、
やはり本作を見ることになりました。
ところが今作は、
老人が主役ではありますが、老人問題を扱ったというわけではない。
夫婦間の信頼と愛情。
そして生きていくための指針。
これらを歌の「力」と絡めて描いた感動作です。
嬉しい誤算で、本作、見逃してはならない作品でした!
アーサーとマリオンは長年連れ添った老夫婦。
奥さんのマリオンは、体調がすぐれないながら、
近所の合唱サークルで歌うのを楽しみにしています。
そこで送り迎えは夫のアーサーの役目ですが、
彼自身は全く合唱には興味がなく、
ただ練習が終わるのを窓の外で待つのみ。
アーサーはとにかく気難しくて頑固なのです。
日本にもよくいますよね、こういうお父さん・・・。
合唱なんてチャラチャラしたものできるかい、って感じ。
だからマリオンの合唱仲間にもそっけなく、
いかにも感じ悪いのです。
そして又、この頑固爺さんですから、
息子との折り合いも良くない。
父と息子の確執・・・といっても息子の方はもう40代半ばくらい?
こんなトシになってもまだ確執を引きずるというのは、
筋金入りですね・・・。
というわけで、この二人の仲は、マリオンが取り持っていたわけです。
マリオンは、いつも気むずかしい顔で頑固なアーサーだけれど、
本当は優しく、いつも自分を気遣っていることを知っていて、
夫を大切に思っているのです。
優しい言葉を口にするのがニガテなだけと、知っているんですね。
長く連れ添った夫婦の絆が感じられて、
なんだかいいなあ・・・と思います。
さてところが、マリオンの癌が再発・・・。
大きな悲しみが待っています。
アーサーは生きる意欲をなくし、
息子とはますますうまく行かなくなり・・・・・
このコーラスサークルはお年寄りばかりなので、
“年金ズ”と名乗りますが、
指導者のエリザベスがロックやらラップやら、
年令にこだわらず思い切りポップな選曲をするのです。
私も以前ゴスペルなど歌いに行っていた事がありまして、
その時のことを思い出しました。
みんなで心を一つに、ハーモニーを奏でるとき・・・
気持いいんですよね~。
お年寄りだからといって、
古臭くて退屈な歌をうたわなければならないなんてことはないわけで、
楽しめるのならなんでもあり。
そこがいい!!
けれどもそんな中でやっぱり、
人生経験が豊富な方がじっくり気持ちを込めて歌う
バラード調の歌が胸に染み入るのであります。
特別上手いというわけでもないのに、
どうしてこんなに涙が出てしまうのか・・・。
これが「歌」の力なんだなあ・・・と思いました。
とにかく、一見、いえ、一聞の価値ありです。
「アンコール」
2012年/イギリス・ドイツ/94分
監督:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ
出演:テレンス・スタンプ、バネッサ・レッドグレープ、ジェマ・アータートン、クリストファー・エクルストン
夫婦の信頼★★★★☆
歌の力★★★★★
満足度★★★★★
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近頃老人問題がテーマの作品には食傷気味で、
本作も見なくてもいいか・・・と思っていたのです。
そもそも自分自身が老境に差しかかろうという時に、
身につまされすぎといいますか・・・、
イヤわざわざ映画でいわれなくても考えてるから
・・・と言いたくなってしまう。
しかし、この日は「真夏の方程式」とどうもうまく繋げられる作品がなくて、
やはり本作を見ることになりました。
ところが今作は、
老人が主役ではありますが、老人問題を扱ったというわけではない。
夫婦間の信頼と愛情。
そして生きていくための指針。
これらを歌の「力」と絡めて描いた感動作です。
嬉しい誤算で、本作、見逃してはならない作品でした!
アーサーとマリオンは長年連れ添った老夫婦。
奥さんのマリオンは、体調がすぐれないながら、
近所の合唱サークルで歌うのを楽しみにしています。
そこで送り迎えは夫のアーサーの役目ですが、
彼自身は全く合唱には興味がなく、
ただ練習が終わるのを窓の外で待つのみ。
アーサーはとにかく気難しくて頑固なのです。
日本にもよくいますよね、こういうお父さん・・・。
合唱なんてチャラチャラしたものできるかい、って感じ。
だからマリオンの合唱仲間にもそっけなく、
いかにも感じ悪いのです。
そして又、この頑固爺さんですから、
息子との折り合いも良くない。
父と息子の確執・・・といっても息子の方はもう40代半ばくらい?
こんなトシになってもまだ確執を引きずるというのは、
筋金入りですね・・・。
というわけで、この二人の仲は、マリオンが取り持っていたわけです。
マリオンは、いつも気むずかしい顔で頑固なアーサーだけれど、
本当は優しく、いつも自分を気遣っていることを知っていて、
夫を大切に思っているのです。
優しい言葉を口にするのがニガテなだけと、知っているんですね。
長く連れ添った夫婦の絆が感じられて、
なんだかいいなあ・・・と思います。
さてところが、マリオンの癌が再発・・・。
大きな悲しみが待っています。
アーサーは生きる意欲をなくし、
息子とはますますうまく行かなくなり・・・・・
このコーラスサークルはお年寄りばかりなので、
“年金ズ”と名乗りますが、
指導者のエリザベスがロックやらラップやら、
年令にこだわらず思い切りポップな選曲をするのです。
私も以前ゴスペルなど歌いに行っていた事がありまして、
その時のことを思い出しました。
みんなで心を一つに、ハーモニーを奏でるとき・・・
気持いいんですよね~。
お年寄りだからといって、
古臭くて退屈な歌をうたわなければならないなんてことはないわけで、
楽しめるのならなんでもあり。
そこがいい!!
けれどもそんな中でやっぱり、
人生経験が豊富な方がじっくり気持ちを込めて歌う
バラード調の歌が胸に染み入るのであります。
特別上手いというわけでもないのに、
どうしてこんなに涙が出てしまうのか・・・。
これが「歌」の力なんだなあ・・・と思いました。
とにかく、一見、いえ、一聞の価値ありです。
「アンコール」
2012年/イギリス・ドイツ/94分
監督:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ
出演:テレンス・スタンプ、バネッサ・レッドグレープ、ジェマ・アータートン、クリストファー・エクルストン
夫婦の信頼★★★★☆
歌の力★★★★★
満足度★★★★★