映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「本日は、お日柄もよく」 原田マハ

2013年07月04日 | 本(その他)
今、読むべきではない・・・

本日は、お日柄もよく (徳間文庫)
原田マハ
徳間書店


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OL二ノ宮こと葉は、
想いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。
ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する
衝撃的なスピーチに出会う。
それは伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞だった。
空気を一変させる言葉に魅せられてしまったこと葉は
すぐに弟子入り。
久美の教えを受け、「政権交代」を叫ぶ野党のスピーチライターに抜擢された!
目頭が熱くなるお仕事小説。


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スピーチライター。
人々の心を引きつけ、心に焼き付ける言葉を紡ぐ、
そういうちょっと珍しい職業のストーリー。
よくありますよね、
ダラダラ長いだけで、な~ンにも心に残らない話というのが・・・。
まあ、人のことは言えません。
そもそも、人前で離すのがニガテで、
出来ればそういう場には立ちたくないと私は思う方なので・・・。
でもだからこそ、
そういう場で人の心をつかむ話をする方には、憧れてしまいます。
本作の主人公、こと葉も
そんな普通のOLだったのですが・・・。
スピーチライター久遠久美のところに出入りするうちに、
彼女自身もその仕事をすることになってしまいました。
しかも究極のスピーチ、選挙演説の手伝いをすることに・・・。


このストーリー自体はよくできていると思います。
けれど、今、本作を読むのはちょっと複雑な思いがする・・・。


本作中2つの政党が描かれているわけですが、
現存の2つの政党をモデルにしているのは明らか。
長年政権を握り、「守る」ことを主張する与党。
それに対して「変わる」こと、「政権交代」を叫ぶ野党。
…あの頃の熱気は確かにホンモノでした。
でも、今の状況を考えると・・・・。
2010年の作品、だからしかたないのですが・・・。
結局、プロによって作られた「うまい言葉」に、
皆酔わされていただけなのかな・・・などと
皮肉な思いがこみ上げてくるばかりで、
作品そのものを味わうことができませんでした・・・。


結局皆さん「変わる」より「守り」たかったわけ・・・?


本作、「今」読むべきではありません。
「今じゃないでしょ・・・!」
せっかく、「楽園のカンヴァス」で大好きになった原田マハさんなのに、
残念・・・。

「本日は、お日柄もよく」原田マハ 徳間文庫
満足度★★☆☆☆