映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

レジェンド 狂気の美学

2017年06月25日 | 映画(ら行)
切れやすく残忍な心が、自らを滅ぼす



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実在の双子のギャング、クレイ兄弟の栄光と破滅を描きます。
しかし何と言っても本作の眼目は、
この双子の兄弟をトム・ハーディが一人で演じていること。
双子でもこの二人はかなり違う。
本当に別人が演じているかのようでした。



1960年代初頭ロンドン。
レジーとロニーのクレイ兄弟は、手段を選ばないやり方で裏社会をのし上がります。
有力者と交流を深め、アメリカのマフィアと結託し・・・
イギリス社会に絶大な影響力を及ぼすようになります。
部下の妹・フランシスと結婚したレジーは、
彼女のために足を洗い、ナイトクラブの経営のみに力を注ごうとしますが・・・



堅気の娘、フランシスを語り手としたことで、
ただのギャング物語ではない、心の揺れを表現した作品になっていると思いました。
家族とか結婚の絆が生きる指針となる当時の雰囲気がよく出ています。
最近の作品なのに、映画自体が一時代前のものであるかのような。



ロニーは情緒不安定・凶暴。
ゲイで、いつも恋人を側に侍らせています。
そんな彼の機嫌を損ねたら、何をされるかわからないという怖さがあります。

一方レジーはもっとスマートで如才なく、経営の才能もある。
・・・が、しかし実は根本のところは同じようだと、次第に見えてきますね。
彼らの切れやすく残虐な心が、結局は自分たちの身を滅ぼした
ということなのかもしれません。
なかなか興味深い作品でした。

レジェンド 狂気の美学 コレクターズ・エディション [DVD]
トム・ハーディ,エミリー・ブラウニング,デヴィッド・シューリス,クリストファー・エクルストン,タロン・エガートン
Happinet



「レジェンド 狂気の美学」
2015年/イギリス・フランス/131分
監督:ブライアン・ヘルゲランド
出演:トム・ハーディ、エミリー・ブラウニング、デビッド・シューリマ、クリストファー・エクルストン、タロン・エガートン、ポール・ベタニー

演技度★★★★★
満足度★★★.5