映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

TAP THE LAST SHOW

2017年06月27日 | 映画(た行)
圧倒されるダンスシーン



* * * * * * * * * *

水谷豊さんが20代のときにブロードウェイのショウを見て着想、
そしてその後40年。
自ら監督そして主演ということで実現したという作品です。
見る前から少し襟を正したくなりますね。



過去に事故で大きな怪我を負い、
一線を退いたタップダンサーの渡(水谷豊)。
かつては天才の名を欲しいままにしていましたが、
今では足を引きずり、酒浸りの毎日。
そんな彼の元へ、旧知の劇場支配人・毛利(岸部一徳)が訪れ、
最後のショーを演出してほしいと頼みます。

毛利は最高の舞台で最後を飾り、劇場を閉めようと考えたのです。
その熱意に引きずられ、渋々承諾をする渡。
そんな彼の元へ、様々な事情を抱えながら踊ることに自分をかけようとする
若きタップダンサーたちが集まってきます。
そんな彼らと向き合ううちに、次第に渡のダンスへの情熱が蘇りますが・・・。



ストーリーとしてはオーソドックスだと思います。
けれど、水谷豊さん、岸部一徳さんの熱演と、
そして何より、素晴らしい数々のタップダンズシーン、
特にラスト24分の圧巻のショウに、ギュッと心をつかまれてしまいました。
一体どうやればあんな細かなリズムを刻むことができるのだろう・・・、
実際に目の前で見てみたいと思いました。
ソロもいいのですが、群舞もまた迫力があって素晴らしい!!



水谷豊さん演じる渡のキャラがまたスゴイですよね―。
まさしく鬼コーチ。
彼がスタジオに入るとそれまでダラダラしていた皆の気持ちがビシっと引き締まる。
怖い怖い・・・。
しかし始めは番号で呼ばれていたダンサーたちが、
いつしか名前で呼ばれ始めるというあたりがなかなかいいじゃありませんか。



この孤独で頑固なオッサンというのは、
これまでの水谷豊さんのイメージと少し違うのですが、
いやいや、本作を見るとこれこそが本領という感じがします。
素晴らしいショウを堪能しました。



「TAP THE LAST SHOW」
2017年/日本/133分
監督:水谷豊
出演:水谷豊、岸部一徳、北乃きい、清水夏生、西川大貴、HAMACHI

ダンスの迫力度★★★★★
満足度★★★★☆