かくしてまた、新たなジブリ伝説が始まる・・・。
* * * * * * * * * *
自らを「編集者型プロデューサー」と呼ぶ著者は、
時代の空気をつかむために、どんな本を読み、いかなる文章術を磨いてきたのか?
朝井リョウ・池澤夏樹・中村文則・又吉直樹といった、
現代を代表する作家たちを迎え、何を語るのか?
歴史的大ヒットを支えた"教養"と"言葉の力"、そして"ジブリの現在"がこの一冊に。
『ジブリの哲学―変わるものと変わらないもの』から五年半、
続編となるドキュメントエッセイ集。
* * * * * * * * * *
ジブリのアニメファンなら知らない人はない、プロデューサーの鈴木敏夫さん。
先に「ジブリの哲学」という本が出ているのですが、そちらは未読です。
本巻には、鈴木敏夫さんのこの5年間にあちらこちらに掲載された文章が集められています。
特に、作家の朝井リョウ、池澤夏樹、中村文則、又吉直樹さんとの対談が収められているので、
それに惹かれて読んでみました。
中でも、最近の私のお気に入り、池澤夏樹さんとの対談はウレシイ!!
池澤夏樹氏と鈴木敏夫氏は、「レッド・タートル ある島の物語」の仕事の関係で知り合ったそうです。
で、この本の帯の言葉も池澤夏樹氏。
巻末に鈴木氏が
「ぼくの雑文をまとめたこの本に、池澤さんが帯を書くなど、想像するだに恐ろしい」
とありますが、無事、書いていただけたようで。
最近は図書館の本でも帯が表紙裏に貼り付けてあったりするので、確認できました。
「鈴木さんは自分で白状している-------
プロデュースの基本は野次馬精神である、と。
いやはやこの馬の元気なこと!
ジブリの面々やその他大勢を荷馬車に乗せて四方八方走る走る。」
さて、中でも興味を引くのはやはり宮﨑駿氏や高畑勲氏の人となりに触れるシーン。
アニメ雑誌の編集者として、宮﨑駿氏の元へ取材に行ったのが
はじめての出会いという鈴木氏。
その時、一言も喋らず鈴木氏を無視してただひたすら仕事をする宮崎氏の横に座り、
一日が過ぎて午前4時!!
負けてたまるかと通い続けて3日目にやっと宮崎氏が口を開いたという・・・。
それからは急に饒舌になったそうですが、
しかしそれからも毎日毎日、土日もなく通いつめたという・・・、
なんともすごいお話です。
が、つまりこんなふうで、宮﨑駿氏も高畑勲氏も完全に芸術家タイプ。
人の思惑なんかお構いなし、とにかくやりたいようにやる、
ということのようなんですね。
そこで、対外の人とのつなぎ役が必要になって・・・
そこで鈴木敏夫プロデューサーの腕が発揮されると言うことのようです。
納得、納得。
最後にジブリの近況として、
引退宣言を撤回した宮﨑駿氏が長編作品に取りかかり始めた、とあります。
そういえば、昨年秋「NHKスペシャル」で「終わらない人 宮﨑駿」というのをやっていて、
私もそれは見たのですが、
その時、宮﨑駿氏ははじめて3DCGアニメとして
「毛虫のポロ」という短編作品を作っていたのですが、
「レッド・タートル」を見てから突然、
これまでOKを出したカットの全リテークを指示したのだとか。
「レッド・タートル」がかなり宮崎氏に刺激を与えたようなのです。
かくしてまた、新たなジブリ伝説が始まる・・・。
大変興味深く読んだ一冊。
「ジブリの文学」鈴木敏夫 岩波書店
満足度★★★★☆
ジブリの文学 | |
鈴木 敏夫 | |
岩波書店 |
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自らを「編集者型プロデューサー」と呼ぶ著者は、
時代の空気をつかむために、どんな本を読み、いかなる文章術を磨いてきたのか?
朝井リョウ・池澤夏樹・中村文則・又吉直樹といった、
現代を代表する作家たちを迎え、何を語るのか?
歴史的大ヒットを支えた"教養"と"言葉の力"、そして"ジブリの現在"がこの一冊に。
『ジブリの哲学―変わるものと変わらないもの』から五年半、
続編となるドキュメントエッセイ集。
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ジブリのアニメファンなら知らない人はない、プロデューサーの鈴木敏夫さん。
先に「ジブリの哲学」という本が出ているのですが、そちらは未読です。
本巻には、鈴木敏夫さんのこの5年間にあちらこちらに掲載された文章が集められています。
特に、作家の朝井リョウ、池澤夏樹、中村文則、又吉直樹さんとの対談が収められているので、
それに惹かれて読んでみました。
中でも、最近の私のお気に入り、池澤夏樹さんとの対談はウレシイ!!
池澤夏樹氏と鈴木敏夫氏は、「レッド・タートル ある島の物語」の仕事の関係で知り合ったそうです。
で、この本の帯の言葉も池澤夏樹氏。
巻末に鈴木氏が
「ぼくの雑文をまとめたこの本に、池澤さんが帯を書くなど、想像するだに恐ろしい」
とありますが、無事、書いていただけたようで。
最近は図書館の本でも帯が表紙裏に貼り付けてあったりするので、確認できました。
「鈴木さんは自分で白状している-------
プロデュースの基本は野次馬精神である、と。
いやはやこの馬の元気なこと!
ジブリの面々やその他大勢を荷馬車に乗せて四方八方走る走る。」
さて、中でも興味を引くのはやはり宮﨑駿氏や高畑勲氏の人となりに触れるシーン。
アニメ雑誌の編集者として、宮﨑駿氏の元へ取材に行ったのが
はじめての出会いという鈴木氏。
その時、一言も喋らず鈴木氏を無視してただひたすら仕事をする宮崎氏の横に座り、
一日が過ぎて午前4時!!
負けてたまるかと通い続けて3日目にやっと宮崎氏が口を開いたという・・・。
それからは急に饒舌になったそうですが、
しかしそれからも毎日毎日、土日もなく通いつめたという・・・、
なんともすごいお話です。
が、つまりこんなふうで、宮﨑駿氏も高畑勲氏も完全に芸術家タイプ。
人の思惑なんかお構いなし、とにかくやりたいようにやる、
ということのようなんですね。
そこで、対外の人とのつなぎ役が必要になって・・・
そこで鈴木敏夫プロデューサーの腕が発揮されると言うことのようです。
納得、納得。
最後にジブリの近況として、
引退宣言を撤回した宮﨑駿氏が長編作品に取りかかり始めた、とあります。
そういえば、昨年秋「NHKスペシャル」で「終わらない人 宮﨑駿」というのをやっていて、
私もそれは見たのですが、
その時、宮﨑駿氏ははじめて3DCGアニメとして
「毛虫のポロ」という短編作品を作っていたのですが、
「レッド・タートル」を見てから突然、
これまでOKを出したカットの全リテークを指示したのだとか。
「レッド・タートル」がかなり宮崎氏に刺激を与えたようなのです。
かくしてまた、新たなジブリ伝説が始まる・・・。
大変興味深く読んだ一冊。
「ジブリの文学」鈴木敏夫 岩波書店
満足度★★★★☆