これぞ池井戸劇場
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池井戸潤さんの原作で、以前テレビドラマにもなっている本作ですが、
私は読んでも見てもいなかったという本作、満を持して劇場で拝見!!
実際にあったトラックのタイヤ脱輪事故がモデルとなっている作品です。
トラック走行中にタイヤが外れ一人の主婦が亡くなるという事故が起きます。
事故を起こしたのは運送会社の車。
この赤松運送はトラックの整備不良を疑われ、世間からもバッシングを受けてしまいます。
社長赤松(長瀬智也)は、トラックの構造自体の欠陥を疑い、
製造元ホープ自動車に再調査を要求。
しかしホープ自動車からはナシのつぶて。
リコール隠しを疑う赤松は自らの調査を開始。
しかし会社の受注が減少し銀行の融資も受けられず、
会社経営の危機も迫ってきます・・・。
大企業に敵対するということがどういうことなのか・・・、
この厳しい現実に唖然とさせられます。
系列銀行やマスコミ、こんなものまで敵に回すことになってしまったら、
実際中小企業の存続は難しい。
最後には札束をちらつかせて屈服させようとするなど言語道断。
そこを辛くも乗り越えて、なんとしてもこの不正を暴こうと戦う男の姿が実にカッコイイ!!
長瀬智也さんは、こんな役までこなせるようになったんですねえ・・・。
あの「白線流し」のナイーブな青年がねえ・・・
(あの頃はホント、ステキだった・・・今がだめというわけではないけれど)
少し前のテレビドラマのマザコン青年よりずっとこっちのほうが良かったです。
・・・そもそも青年というよりもう中年だし。
TOKIOは、メンバー一人を欠いて
今までより一層一人ひとりの踏ん張りが感じられるこの頃なのでした・・・。
さて、戦う男はこの赤松運送社長一人ではありません。
企業の内部では沢田(ディーン・フジオカ)が、
系列銀行では井崎(高橋一生)が、それぞれ奮闘します。
企業内でもこういう動きがあるというのはなんとも心強い。
この三人は互いに共闘したりはしないのです。
それぞれの立場で、それぞれができることをする。
結果的にはこれが包囲網を敷いて、巨悪の根源を追い詰めるわけで。
池井戸劇場完成!!
やっぱり面白いわー。
池井戸作品の主人公の奥様は皆いい感じですよね。
昔ながらの「夫に従う」という感じではなく、
自立した精神を持ちながらも夫を思いやり負担を取り除こうとする明るさを持つ。
暗くなりがちなドラマが少しホッとする場面でもあります。
本作の赤松社長の奥様は深田恭子さん。
こんなかわいい奥さんがいたら、そりゃー、頑張るしかないわね。
そうそう、ここの息子が、「半分青い」の律少年、高村佳偉人くんでした!
<シネマフロンティアにて>
「空飛ぶタイヤ」
2018年/日本/120分
監督:本木克英
原作:池井戸潤
出演:長瀬智也、ディーン・フジオカ、高橋一生、深田恭子、岸部一徳、笹野高史、小池栄子、ムロツヨシ
戦う男度★★★★★
満足度★★★★☆