映画と本の『たんぽぽ館』

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エイジ・オブ・イノセンス 汚れなき情事

2018年06月24日 | 映画(あ行)

愛とは。結婚とは。

* * * * * * * * * *

原作はイーディス・ウォートンの小説。
なるほど、どことなく文学の香りがしました。

1870年代。
若き弁護士ニューランド・アーチャー(ダニエル・デイ=ルイス)は、
幼馴染のメイ・ウェランド(ウィノナ・ライダー)と婚約しています。
ニューヨークの社交界ではその時、
夫から逃れてヨーロッパから帰国したエレン・オレンスカ伯爵夫人(ミシェル・ファイファー)の噂でもちきり。
メイとエレンはいとこ同士で親しかったので、
ニューランドとも幾度か顔を合わせることがあり、
ニューランドは自由闊達なエレンに惹かれ始めます。
エレンは夫との離婚を望んでいますが、当時離婚などとんでもないこと。
醜聞をおそれたエレンの一族は、離婚を思い留まらせるための説得をニューランドに依頼します。
そんな話をするうちに次第に二人の心は接近していきますが・・・。


さてさて、婚約者がいながら、他の女性を好きになってしまう。
これはまずいです。
婚約破棄してしまえばいいことではありますが、
それがこの「社交界」という狭くて虚飾に満ちた世界ではほとんどタブーに近い。
気に入らないことについては、誰も表面きっては言わないけれど、無視。
そんな陰険な世界です。
ニューランドはエレンへの思いを断ち切るかのように、メイと結婚。
さて、その妻メイは、社交界の見本のように誰にでも人当たりよくにこやか。
夫の恋心など気づきもしない・・・というのはフリで、
実はしっかり気づいていたわけです。
そして二人の思いを断ち切るような画策までする・・・。
うわ~、陰険! 
そしてそれを知りつつ、知らないふりをして
穏やかな結婚生活を続けるニューランドに対してもどうなのよ・・・と思ってしまうわけですが。

しかしこれはそういう欺瞞に満ちた悲惨な結婚の物語というわけではないのです。
二人には一男一女が生まれ、何事もなかったように月日が流れる・・・。
ニューランドがメイの本当の思いを知るのは彼女が亡くなった後。
愛とは。結婚とは。
情熱だけでは語れない何かが、そこにあるようです。

ラストにはダニエル・デイ=ルイスが30年を経て老いたメイクで登場。
ほとんど今現在の彼の年代なわけですが・・・
なるほど、よくできている。
今のダニエル・デイ=ルイスによく似ています。
(当たり前といえば当たり前ですが)
ただ、今現在の御本人のほうがもっとアクの強い感じですかね。
それこそが人生の年輪を重ねるということなのかなあ。

エイジ・オブ・イノセンス [DVD]
ジョアン・ウッドワード
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント



<WOWOW視聴にて>
「エイジ・オブ・イノセンス 汚れなき情事」
1993年/アメリカ
監督:マーティン・スコセッシ
原作:イーディス・ウォートン
出演:ダニエル・デイ=ルイス、ミシェル・ファイファー、ウィノナ・ライダー、ジェラルディン・チャップリン

結婚を考える度★★★★☆
満足度★★★★☆