ど、ど、どーするのよ、無音の出産シーン!?
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音に反応して人間を襲う「何か」の出現のために、人類は滅亡の危機に瀕している、
本作はいきなりそんなところから始まります。
こんな世界で、なんとか生き延びている一つの家族に焦点を当てます。
彼らは決して音を立てないというルールを守り、言葉は手話で、常に裸足で生活しているのです。
けれど全く無音というわけではありません。
風の音、木々のざわめき、水のせせらぎ、そうしたものは普通に聞こえる田園生活。
こんな中で常に緊張感を持って生活するのはかなり難しいでしょうけれど・・・。
でも「音を立てたら即死」というキャッチコピーの意味を、私達は冒頭間もなく思い知ることになります。
そしてこのときの事件が、この家族に影を投げかけることになります。
さてそんな中、妻が妊娠し、臨月を迎えます。
え~、ちょ、待てよー、と思いますね。
必死にこらえてなんとか出産時を無言で済ませるにしても、
赤ん坊の泣き声はどうするのよ、赤ん坊の泣き声こそは生きている証なのに・・・。
こちらの不安をよそに、出産シーンは最悪のタイミングではじまります。
もう、ヤダ~。
怖すぎる!!
世界中の混乱は想像に余りあるところではありますが、
本作はたった一つの家族にマトを絞ったところが良かったと思います。
家族だけで得体の知れない敵と対峙。
なんだか原始の世界に帰るようですね。
恐怖を乗り越えてなお一層強まる絆。
今家族がバラバラなのは世の中が平和すぎるせい・・・?
作中は、極めて僅かな音が聞こえるだけなのですが、
時折グワーンと大きな音が出る。
例えば机の上の何かが落ちたりするような音なのですが。
それが怪物の現れる前触れの恐ろしさもあるのですが、
それ以前に、急にボリュームの大きい音がするのにびっくりさせられるわけです。
ほんと、飛び上がりそうになってしまう。
カンベンして~・・・。
ところで、ここに登場する聴覚障害のある女の子、最近見た覚えがある・・・と思ったら「
ワンダー・ストラック」に出ていたのでした。
実際に聴覚障害のミリセント・シモンズさん。
またどこかでお目にかかりたいものです。
監督・脚本と夫役として出演しているのがジョン・クラシンスキーで、
妻役のエミリー・ブラントとは実際の夫婦。
なるほど、作品自体も家庭内作品。
でも面白かった。
<シネマフロンティアにて>
2018年/アメリカ/90分
監督・脚本:ジョン・クラシンスキー
出演:エミリー・ブラント、ジョン・クラシンスキー、ミリセント・シモンズ、ノア・ジュプ、ケイド・ウッドワード
ハラハラ度★★★★★
満足度★★★.5