映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日

2021年09月01日 | 映画(ま行)

ライオンの現状を知ろう

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ライオンファーム経営のため、家族でロンドンから南アフリカに移住してきた11歳、ミア。
仕事に追われる父、心の病を抱える兄にかかりきりの母。
新しい学校にはなじめず、友だちもいない。
そんなクリスマスの日、ファームにホワイトライオンのチャーリーが生まれます。
ミアはチャーリーの世話をしながら共に成長。

それから3年後。
囲いの中で野生動物を狩る「缶詰狩り」の業者に、
父がファームのライオンを売っていたことを知ります。
そしてチャーリーも売られてしまうことに。
ミアはチャーリーを救うため、チャーリーと共にティムババティ野生保護区を目指します。

「缶詰狩り」とは聞き慣れない言葉ですが、
まさに、缶詰のように狭い囲みの中の動物を狩り、ハンティング気分を味わうという、
そんなののどこが楽しいのさ!と言いたくなってしまうレジャー(?!)なのですね。
そのために、野生動物を繁殖しているファームがある、という事実。
南アフリカではこのことは合法で、現にそれで多くの収益を得ているというのです・・・。

ミアの父親は、缶詰狩りの業者にライオンは売らず、主に動物園を相手に、
観光目的としてライオンを繁殖させていたのです。
しかし、ファームの経営が悪化し、
お金のためにどうしてもその業者に売らざるを得なくなってしまった・・・。

100年前には25万頭いたライオンも今では9割減少して2万頭なってしまった。
まさに絶滅危惧種です。
繁殖させたものなら殺傷していいというものではないですよね。
しかしそれなら牛や豚はどうなのかと考え出すと、迷宮にはまり込みそうですが。
まあとにかく、そんなことを考えるきっかけにはなる作品です。

 

さてそれにしても本作で驚くのはこのライオン。
3年以上をかけてCGはなし、ということなのですが、
実にこの少女ミアと息が合っていて、全く危なげを感じさせない。
本当に時間をかけて共に過ごしていたのだろうなあ・・・と感じさせます。

ライオンは小さい頃ならなつくけれど、ある程度成長した後は野性に返ってしまう
と聞いたことがあるので、これはなかなかすごいことなのではないでしょうか。
特に終盤のチャーリーは、“アスラン”かと思うほどの聡明なまなざしを見せておりまして、
いや、ホントすごい。

ミアの兄の心の病というのも、あることがトラウマとなっていた
ということが判明するあたりも秀逸です。

 

少女は、始め登場したときに、あららこの子、歯並びがあんまり良くない・・・と思ったら、
次の時には歯列矯正具を装着しており、
そして最後の時にはとても美しい歯並びになっていました。
リアルな時の流れを感じますねえ・・・。

 

シネマ映画.comにて

「ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日」

2018年/フランス/98分

監督:ジル・ド・メストル

出演:ダニア・デ・ビラーズ、メラニー・ロラン、ラングレー・カークウッド、ライアン・マック・レナン

 

野生動物の問題度★★★★☆

満足度★★★★☆