血みどろの中のピュア
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なんとも甘酸っぱい題名ですが、三池崇史監督作品ということで、
ロマンチックな作品であるはずがありません。
ということで、公開時の劇場視聴は避けていましたが、
この度、好奇心に負けて拝見。
天涯孤独の天才ボクサー、葛城レオ(窪田正孝)。
しかしある試合でまさかのKO負けで病院に担ぎ込まれ、
脳検査の結果、医師から余命宣告を受けてしまいます。
自暴自棄で歌舞伎町の街をさまようレオは、
男に追われる少女・モニカ(小西桜子)を目にします。
レオは反射的にモニカを追う男を殴り倒してしまいますが、
その男・大伴(大森南朋)はヤクザ・加瀬(染谷将太)と手を組む悪徳警官。
そんなことから、レオはヤクザ同士の抗争の渦に巻き込まれつつ、
モニカを守ることになってしまった。
中国マフィアと地元ヤクザの抗争やら、
応酬した麻薬を横流しする悪徳警官やら、
少女をヤク漬けにして体を売らせるあくどい手口やら・・・、
ナイフ、拳銃、日本刀。
腕が切り落とされたり生首が吹っ飛んだり・・・、
いやというほどどぎついシーンがありながら、つい笑ってしまう。
まあ、これぞ三池監督の真骨頂。
たとえば染谷将太さん演じるヤクザの加瀬は、
組を裏切って大伴と手を組み、麻薬を盗み出して大金を手に入れようとします。
しかし、どこかドジで、計画は頓挫。
図らずも行く先々で人を殺してしまうハメになる・・・。
そしてそんなあげくに・・・・。
いやはや、お気の毒ではありますが、妙におかしい。
中でも傑作だったのは、三下ヤクザの彼女であるベッキー演じるところのジュリ。
ジュリのカレシは加瀬に殺されてしまうのですが、
彼女は復讐を誓い、加瀬に襲いかかります。
なんとも凶暴でクレイジー。
カワイコチャンを脱ぎ捨てたベッキーの覚悟が見えます!
恐るべし。
組の親分・権藤は内野聖陽さんです。
こんな迫力のある内野聖陽さんは久しぶりですねえ。
最近はひょうきんで柔和な内野聖陽さんばかり見慣れていたので。
や~、でもこの親分はかっこよかったです!!
で、こんな血みどろ・どろどろの斬った張ったの混乱の中で、
なんともピュアなレオがいるのです。
単に行きずりのモニカをなんとか助けたいという思いで。
初恋、というのには遅すぎる気もするけれど、
まあその、「初恋」というイメージをこの2人が表出するわけで。
悪くないと思います、こういうのも。
<Amazon prime videoにて>
「初恋」
2019年/日本/115分
監督:三池崇史
脚本:中村雅
出演:窪田正孝、小西桜子、大森南朋、染谷将太、ベッキー、三浦貴大、内野聖陽
残酷度★★★★☆
ピュア度★★★★★
満足度★★★★☆