映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

美しい星

2017年06月07日 | 映画(あ行)
この宇宙の片隅で



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三島由紀夫原作という異色作です。
原作では当然ながら当時「地球温暖化」などという言葉もなく、
東西冷戦下の核の恐怖が時代背景として大きく扱われているそうです。
本作は思い切って現代に舞台を移しています。


予報が全然当たらないことで評判のTVお天気キャスター大杉(リリー・フランキー)。
ある時、空飛ぶ円盤に遭遇し、自分は地球を救う火星人だったことに目覚めます。

それと時を合わせて、彼の息子・一雄(亀梨和也)は水星人、
娘・暁子(橋本愛)は金星人と、

それぞれに覚醒。
妻・伊余子(中島朋子)は地球人のままですが、「美しい水」の販売にハマります。
そんな彼らが、謎の代議士秘書黒木(佐々木蔵之介)の政治的陰謀に巻き込まれていく・・・。



彼らはもともと平凡だけれどもほとんど崩壊しかけた家族でした。
その彼らが、同じ星ではなく別々の星に所属していると覚醒することで、
いよいよ家族はバラバラになりかけます。
それぞれの星の主義主張は地球を救うことにありそうなのだけれど、
しかし、その方向が異なっていて互いに相容れません。
そんな時、大杉が病に倒れ・・・。


最後に宇宙船から見た彼ら家族の様子が俯瞰して映し出されます。
この地球上で当たり前にある、人々の、特に「家族」の営み。
意見が合わなくて、いつも仲良しでいられないのは当たり前、
だって本当はそれぞれ異星人なのだもの。
それでもやっぱり、私たちは寄り添って生きていくわけだなあ
・・・と、ほのかに感じました。



広大な宇宙の中ではほんのちっぽけな地球。
そしてその片隅にあるささやかな人の営み。
そういうものがとても愛おしく思えてきます。
この「美しい地球」に住む「ヒト」で、よかったですよね・・・。


「美しい星」
2017年/日本/127分
監督:吉田大八
出演:リリー・フランキー、亀梨和也、橋本愛、中島朋子、佐々木蔵之介
SF度★★☆☆☆
家族度★★★★★
満足度★★★.5


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