映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ダンシング・チャップリン

2011年04月28日 | 映画(た行)
舞台裏を知ることで一層の興味と理解が



            * * * * * * * *

フランスの名振付師ローラン・プティによる
チャールズ・チャップリンを題材としたバレエ「ダンシング・チャップリン」舞台を
映画化したものです。
私は特にチャップリンに思い入れがあるわけでもなく、
バレエも漫画はよく見ますが、
ホンモノの舞台はあまり縁がないといった体たらく。
主に周防監督とその奥様草刈民代さんに興味を持って、
というミーハー的動機で見に行きました。


第一幕「アプローチ」は、この作品の撮影を始めるまでの過程を描いた記録。
特に、このプティ氏はいかにも頑固そうで全く食えない感じ。
周防監督も苦笑い。
プティ氏はあくまでも「舞台」の記録のイメージを抱いているようなのですが、
監督は記録ではありつつも、あくまでも「映画作品」に仕上げたい。
そういう二人、表面にこやかではありながら
見えないところで火花が散っているようです。
それから、このチャップリン役のルイジ・ボニーノ氏のキャラクターが何ともステキ。
なんと60歳なのだとか。
もともとこの作品、プティ氏がボニーノ氏のために作ったのですね。
だから役柄がぴったりなのは当然なのですが、
彼がいると場の雰囲気が違う。
まさにイタリアの方らしくて陽性ですね。
そして長年の経験によるどっしりとした安定感と包容力。
彼がいるととても安心感があります。
すごいオーラを持った方です。
黒いバックに黒い衣装を着て踊ると、手がすごく目立ちます。
その手の動きのなんとやさしくしなやかで美しいこと。
その指はよく見ると結構ブコツだったりするのですが。
この手の平に包まれたら赤ちゃんのように安らかな心地になりそう・・・。


そうして5分間の休憩を経て、いよいよ「バレエ」の本番。
堪能しました。
草刈民代さんの動きもなんて美しい・・・。
この2部構成は、特に私の様なバレエのドシロウトにはありがたいです。
私などは、バレエは美しくて当たり前なんてつい思ってしまいますが、
そのためにどれだけの練習があるか、
どれだけの人のいろいろな場での努力があるのか、
そういうことが解っていればまた感慨もひとしおです。
バレエのリフト一つとっても、ただ持ち上げればいいというモノではない。
いかに相手が動きやすいか、
それをわかっていなければダメなんですね。
プティ氏が反対していた野外の公園で警官が踊るシーン。
結局監督は自分の意志を通したのですね。
これぞ監督の矜持というものでしょう。
これがまたやはり新鮮でとてもいいシーンでした。


「ダンシング・チャップリン」
2011年/日本/131分
監督:周防正行
出演:ルイジ・ボニーノ、草刈民代、ジャン・シャル・ベルシェール、リエンツ・チャン、ローラン・プティ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿