映画と本の『たんぽぽ館』

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地獄でなぜ悪い

2014年04月28日 | 映画(さ行)
単なる血みどろの抗争劇じゃなかった・・・!!



* * * * * * * * * *

ヤクザの組長武藤(國村隼)は、獄中の妻しずえのために、
娘ミツコ(二階堂ふみ)を主演にした映画の製作を決意します。
10代の頃から映画作りの夢を抱き、
10年たった今も子供のように夢を持ち続ける平田(長谷川博己)と、
ただの通りすがりの平凡な青年橋本(星野源)を監督に、
手下のヤクザたちがキャストとスタッフを務め、
映画撮影が開始される。
撮影は敵対する組への殴り込みのナマ撮影。
しかもそちらの組長池上(堤真一)は、ミツコに恋心を抱いている・・・。
血みどろ、決死の立ち回りのなか、
撮影が行われるが・・・。



コメディではありますが、とんでもなく血まみれ。
残酷シーンもイッパイ。
けれどそんな表層のことに惑わされてはいけません。
何しろ非常によく練られたストーリーです。
10代のイカれた映画マニア平田たちとヤクザ池上との接触。
また、ミツコと池上とのつながり。
名子役の失墜。
強者のヤクザの妻。
ヤクザ同士の抗争。
こういう関係性が10年後にまた絶妙にからみ合っていきますね。
無駄に月日が流れるわけではない。



また一人ひとりの個性がユーモラスでありつつカッコイイ。
特に平田のキャラは最高ですね! 
女をくどくセリフはまるで舞台俳優のそれだ。
キザでカッコつけで・・・。
たった一つでいいから最高の映画を撮りたい。
少年の夢をそのまま持ち続け、ひたすらチャンスを待ち続ける彼に、
ついに運命の神が舞い降りる。
その時の高揚感、使命感・・・いいですねえ。



はすっぱなミツコもまた、キョーレツにカッコイイのです。
裏切った男への対処とか、
何事にも動じない強さ。(さすがにあの母の娘・・・)



ヤクザの池上は、黙っていれば威圧感たっぷりなのに、
ミツコを夢想する彼はトンマもいいところ。
堤真一さんの百面相が楽しめます。
そしてまた、凡庸でトホホな青年橋本の役回りもよし。

それでもラストは、あんまりな抗争の惨劇に不安になりかけるのですが・・・。


しかし、本当に最後まで見なければわからないものです。
ラストのほんのひとシーン。
このシーンがあるとなしでは全然意味が違ってくる。
私達は、驚かされ、安堵し、そして納得させられるのです。
これぞ映画・・・。
園子温監督の映画愛がじんわり伝わる作品なのでした。
俳優さんたちもすごく楽しんだのではないかと思います。

地獄でなぜ悪い スタンダードエディション [DVD]
國村隼,二階堂ふみ,友近,長谷川博己,星野源
キングレコード



「地獄でなぜ悪い」
2013年/日本/129分
監督・脚本:園子温
出演:國村隼、堤真一、二階堂ふみ、長谷川博己、友近、星野源
血まみれ度:★★★★★
ストーリー性★★★★☆
満足度★★★★★


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