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リトルプリンス 星の王子さまと私

2016年05月08日 | 映画(ら行)
誰の心の中にもある、赤いバラ



* * * * * * * * * *

おそらく、誰もがその題名だけは知っている「星の王子さま」。
本作は現代を生きる少女を主人公に据え、
原作の物語を語りながら、原作のその後を描くという、
素晴らしいバランスを保った作品になっています。



主役の9歳の少女に名前は出てきません。
それは「星の王子さま」に名前がなかったことに習ったのでしょう。
どこかにいるかもしれない、また、それは私かもしれない一人の少女。



少女が新しく越してきた家の隣に、風変わりな老人が住んでいます。
若いころは飛行士だった彼は、昼間はおんぼろの飛行機を修理し、
夜は望遠鏡で空を眺めて暮らしている。
少女は老人から、若いころに砂漠で出会った「星の王子さま」の話を聞きます。



少女の母親は過度の教育ママで、
少女の生活を一生分のスケジュールでがんじがらめにする。
何から何まで管理された生活。
どこに夢が入り込む隙があるでしょう・・・。
そんな少女が老人の話に惹かれたのも無理はないことではありますが・・・。



星の王子さまが愛した「赤いバラの花」が指すもの。
それは多分、愛とか、夢とか希望・・、
そう言ってしまうと急に陳腐になってしまう気がしますが、
誰の心のなかにもそんな「赤いバラの花」があるのかもしれません。
今は忘れ果てていても、遠くはなれていても、すっかり枯れ果てたように見えても・・・。
心の目で見ようとすればきっとそれはそこにまだひっそりと、ある。



この物語は子供向けのように見えて、実は大人のための物語。
バラの花を持っている子どもにはその貴重さはわからないけれど、
おとなになってからこそ価値が分かる。
そういう物語だから、ずっと読み継がれているのでしょうね。
どのシーンも美しく、
自分の底に眠っていたみずみずしい感性が呼び起こされるような気がする作品でした。


ちなみに、私は中学生の頃にはじめてこの本を読んだのだったと思うのですが、
その時に作ったフェルトの人形がこれ。

なんと50年近くも前のものなんですよ・・・。
よくぞ今まで取っておいたものです。
と、我ながら感心したりして・・・。
そして本の方は、昭和28年初刷で昭和45年第32刷 240円(!!)とあります。
物置の奥ではなくて、寝室の枕元の本棚にちゃんとある、というのがまた・・・(^_^;)
(でも全然読み返したことなかった・・・)

リトルプリンス 星の王子さまと私 [DVD]
鈴木梨央,津川雅彦,瀬戸朝香
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント


「リトルプリンス 星の王子さまと私」
2014年/フランス/107分
監督:マーク・オズボーン
原作:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
出演(英語版声):ジェフ・ブリッジス、マッケンジー・フォイ、レイチェル・マクアダムス、ライリー・オズボーン、ジェームズ・フランコ

懐かしさ★★★★☆
ピュア度★★★★★
満足度★★★★☆


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
子供にはわからない (風子)
2016-05-09 11:16:35
ブログに感想を書いた後、家にあった星の王子さまを読みました。中学くらいの頃に、小学校の先生をしていたいとこがくれた本ですが、面白いとかいう記憶はなく、読み返した事もない本でした。今読むと、当時の私にはまったく面白くなかった理由がわかりました。
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Unknown (たんぽぽ)
2016-05-09 20:16:40
>風子さま
冒頭の、うわばみが象を飲み込んで「帽子」のようになったところが、中学の時、教科書にあったのです。そんなところで興味が出て買った本ですが・・・、確かに「面白い」とは思えなかったですねえ。
でもなんだか捨てがたくて、今の今までとってありました。今読んだほうが、少しは分かるかな?
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