映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

帰ってきたヒトラー

2016年06月30日 | 映画(か行)
世界は大丈夫か



* * * * * * * * * *

ドイツのベストセラー小説を映画化したもの。
あのヒトラーがタイムスリップして現代に蘇る・・・。
私はもっとコミカルな作品かと思っていたのですが・・・。



TV局をリストラされたファビアン・ザバツキは、
服装も顔もヒトラーにそっくりな男を見出し、
なんとかこの男を利用してまたTVマンとして返り咲こうとします。
男は、カメラの前で堂々と過激な演説をし、
視聴者は圧倒されてしまいます。
誰もが、彼はヒトラーのモノマネをしていると思っているのですが、
実はタイムスリップしてきたホンモノ。
その過激な発言にリアルさを感じ、特に若い人に気に入られてSNSで人気沸騰。
次第に同調を示す人も増えてきます・・・。



本作、セミドキュメンタリーとなっていまして、
このヒトラーに扮したオリバー・マスッチ氏と、
ファビアン役のファビアン・ブッシュ氏が、実際にドイツ中を車でまわり、
街の人々と交流したシーンが使われています。
多くの人が、“ヒトラー”氏と自撮りをしたがったのだとか。
もちろん「そっくりさん」とわかっていて、面白がって、ということでしょうけれど、
それにしてもヒトラーの行ったことの大きさを考えれば、
不愉快に思い、顔をしかめる人が多くて当然のようにも思うのですが・・・。



特に気になったのは、ドイツの方も、
難民など外国人が多く国内に入り込んでくることを危惧している方が多いこと。
人々はそう思っているけれど、ヒトラーの事があって、
その思いを声高に言えないというジレンマもあるようです。
そんな中、外国人や異宗の人々を排斥しろと、ヒトラーは何のためらいもなく宣言する。
テレビやインターネットは、
ヒトラーの実際に生きた時代よりももっと簡単に効率よく、
人々をそれに同調させてしまうのです。


全然笑い事じゃない。
終始私は怖い思いでいっぱいでした。
で、この日帰宅して知ったニュースが、
英国の国民投票でEU脱退が決まったということ・・・。
なんだか複雑な心境になってしまいました。
世界は大丈夫なのでしょうか・・・・。



ヒトラー役のオリバー・マスッチさんは、ほとんど無名の舞台俳優だそうです。
ヒトラーに似せて特殊メイクをしているそうですが、
凄いと思ったのは、この方の目つきが終始怖い!
まことに、恐るべき作品でした。


「帰ってきたヒトラー」
2015年/ドイツ/116分
監督:デビッド・ベンド
出演:オリバー・マスッチ、ファビアン・ブッシュ、クリストフ・マリア・ヘルプスト、カーチャ・リーマン、フランツィスカ・ウルフ

危機感度★★★★★
満足度★★★★☆


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2 コメント

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Unknown (たんぽぽ)
2016-07-01 20:34:22
>こにさま
のどかな顔をしている犬ですが、私もそこのところが一番ショックだったかも。
ちょっと「変なおじさん」程度のヒトラーが突如本性を表すというか、怖いですよね・・・
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色々と… (こに)
2016-07-01 08:12:27
映画の中だけの話ではない、誠に恐ろしい映画でした。
ポスターの犬がまた恐ろしい…。
トラバお願いします♪
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