映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

地下室のヘンな穴

2023年03月11日 | 映画(た行)

依存

* * * * * * * * * * * *

平凡な中年夫婦、アランとマリー。
怪しげな不動産業者に案内され、郊外の一軒家を購入しました。
その家の地下室にはマンホールのような穴が一つあいています。
そこを降りていくと、なぜか同じ家の2階に出てしまうのです。
そして同時に、時間が12時間進み、肉体が3日分若返ります。
やがて、妻マリーは若返りたいと思う一心で、
何度も何度もその穴をくぐり抜け始めますが・・・。

穴を通り抜けている本人には一瞬のことなのですが、
外の世界から見るとマリーは12時間不在ということになるのですね。
夫アランはこの穴にはさしたる興味も待たず、
いつも穴の中にいるマリーをあきれてみています。

一回で3日分若返るだけ・・・。
けれどマリーはもう執念となって穴をくぐり抜け続け、
やがてはティーンエイジャー?かと思うほどに若返って行くのです。

あるとき、マリーが腐ったリンゴを持ってその穴をくぐり抜けると、
たしかに、元通り新鮮なリンゴに戻っているのですが、
そのリンゴを二つに割ってみるとなんと・・・!!

表面上若返ったマリーなのだけれど、その内部で何が起こっているのか・・・?

本作はつまり「依存症」の物語なのでしょう。
この夫妻の友人夫婦が近所に住んでいるのですが、
その夫のほうが、また別の依存症となっていて、問題を引き起こします。

人によって現れ方は様々。
けれど、あまりにも一つのことにこだわり続け、
それがやめられなくなってやがて自らを滅ぼしていく・・・
ということの怖さを言っています。

 

さて、本題からは外れますが、本作の中で、
誰もこの穴を逆行するとどうなるのかという疑問を持たなかったのが不思議。

時間が12時間前に戻って、3日分年をとる・・・?

いや、それだと穴に入る前の12時間、
仕事をしたりテレビを見たりしていた自分はどうなってしまうのか?
という疑問というか矛盾が生じてしまいますね。
つまり逆行は不可能ということなのかも知れません。

まあそこは目をつぶるとして、あまりにも忙しい人とか、受験前の人とか、
その穴をくぐれば人より多く12時間を使えるということにはなりませんかね? 
しかしその見返りに、3日分年をとってしまう・・・。
まるで長く遊び暮らして、元の世界に戻ると老人になってしまった浦島太郎のようでもあるな・・・。
「逆ヘンな穴」も面白そうだ・・・。

<WOWOW視聴にて>

「地下室のヘンな穴」

2022年/フランス・ベルギー/74分

監督・脚本:カンタン・デュピュー

出演:アラン・シャバ、レア・ドリュッケール、ブノワ・マジメル、アナイス・ドゥムースティエ

 

不思議な穴度★★★★★

依存度★★★★★

満足度★★★.5



最新の画像もっと見る

コメントを投稿