映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ハウ

2023年03月13日 | 映画(は行)

犬の旅の物語

* * * * * * * * * * * *

市役所職員の赤西民夫(田中圭)。
結婚を約束していた人にいきなり逃げられて失意の中にいました。
そんな時に上司に勧められて、保護犬の真っ白な大型犬を飼うことに。
吠える声を消すために声帯の手術を受けたらしいその犬は、
「ハウ」という声しか出せないので「ハウ」と命名。

民夫は次第にハウと絆を深めていきます。
ところがそんなある日、ハウが突然姿を消してしまうのです。

実はハウはひょんなことで輸送トラックに乗ってしまい、
青森まで行ってしまっていたのです。
手を尽くしてハウの行方を探していた民夫ですが、
似た犬が車に轢かれて死んでいて、すでに火葬された
という話を聞き、呆然とします。
喪失感の中で、ただ黙々と仕事を続けるだけの民夫。

そして一方、ハウは懐かしい民夫の声がまた聞きたくて、長い旅を始めます。
そんな中で様々な人々との出会いと別れもあって・・・。

ハウがいなくなったあとの民夫は、婚約者に去られた以上の喪失感を味わっていたようです。
ペットを飼ったことがある方なら、この気持ち、よく分かりますね。

ハウとの充実した生活の日々のシーンは本作の始めの方にあるだけで、
意外にも別れたあとの物語の方がメインなのでした。

民夫がペットロスから抜け出すまでの長い時間。
・・・つまりは、時が傷を癒していくほかないのでしょう。
その傷は決してなくはならないのですが。

そしてまた、ハウが出会う人々の人生のドラマ。
ここも、それぞれが見所なのです。
それぞれの思いにハウが寄り添うのはいいですねえ・・・。

そしてまた、ラストは想像したようなハッピーエンドとは
ちょっと違うところがまたいいのです。
しかし、すごく納得のいくラスト。

よき、よき。

<Amazon prime videoにて>

「ハウ」

2022年/日本/118分

監督:犬童一心

原作:斉藤ひろし

出演:田中圭、池田イライザ、野間口徹、渡辺真起子、モトーラ世里奈、深川麻衣

 

犬愛度★★★★★

冒険度★★★★☆

満足度★★★★☆

 



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