映画と本の『たんぽぽ館』

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少年たちは花火を横から見たかった

2013年12月20日 | 映画(さ行)
彼・彼女らには成長するに必要な長い6年だけど、私達にはあっという間。

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本作は、先日観た
「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」の映画公開から6年後、
撮影時の経緯を振り返ったドキュメンタリー作品です。
主役を務めていた二人、奥菜恵さん、山崎裕太くんが
ロケ地を訪れて当時の思い出を語ったり、
その時のセリフを繰り返してみたり。


奥菜恵さんは、しっかり美少女から美女へ。
そして驚くべきは山崎裕太くん、あの小学生のチビッコが、
こんなふうな立派な青年になってしまうとは、
6年の歳月、恐るべし。
彼と彼女にとっては、俳優として成長するのに必要な長い6年だっとろうと思えるのですが
私のような年のものにとって6年など、あっという間。
まるで昨日のことのよう・・・
(って、だから2.3日前に観たのだった!!)
でも、こんなふうに6年の時を一気に飛び越えて見ることができるというのも、
ある意味シアワセ。


岩井俊二監督も登場します。
実は始めはテレビ番組で、
「もしもこの時こうだったら・・・」という分岐点を幾つか用意して、
その分岐の先がいくつも提示されるような、
そういうドラマの企画だったそうなのです。
ところが、この新進気鋭の岩井俊二監督が、
そんなお約束を全く無視してこのストーリーを作ってしまった。
当時のプロデューサーさんの愚痴ること愚痴ること・・・。
それで、水泳の競争で争う二人のどちらかが勝つかという2つの選択肢の先
・・・というところが一箇所だけ、かろうじて生き残っていたわけなんですね。
場面設定なども撮影しながら試行錯誤で変わったりして・・・。
でも、そうして危うくも揺れながら作った作品が功を奏して、
岩井監督の受賞となったわけですから、面白いものです。
ところでこのテレビドラマの放送当日、
台風で裏番組の野球中継がナシになってしまっていたそうなのです。
だからこそ、ある程度の視聴率が取れた、とのこと。
世の中何が幸いするかわかりません。


奥菜恵さんや山崎裕太くんは言う。
あの撮影の夏は、他のどんな夏よりも思い出に残った夏だった、と。
そうですよね、少年の日の夏休み。
子どもたち同士の色々な思い出もあったのでしょう。
ちょっぴり懐かしくて甘酸っぱい、
そんな気持ちも味わえるこのドキュメンタリーなのでした。

少年たちは花火を横から見たかった [DVD]
奥菜恵,山崎裕太,岩井俊二
ビデオメーカー


「少年たちは花火を横から見たかった」
1999年/日本/90分
監督:岩井俊二
出演:奥菜恵、山崎裕太、小橋賢児、麻木久仁子
岩井監督探求度:★★★★☆
満足度★★★☆☆


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