映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「変死体 上・下」 パトリシア・コーンウェル 

2012年01月17日 | 本(ミステリ)
もはやSFではない、科学技術

変死体(上) (講談社文庫)
池田 真紀子
講談社


変死体(下) (講談社文庫)
池田 真紀子
講談社


                    * * * * * * * *

「検屍官」シリーズの最新刊です。
スカーペッタはケンブリッジ法病理学ンターの局長となったのですが、
軍で研修を受けるため早々に任地を離れており、3ヶ月ぶりに帰還。
その間副局長としてジャック・フィールディングに留守を任せたはずが、
密かにとんでもないことが進行していた・・・。


この巻には、SFまがいの新兵器、新兵器となり得るものが登場します。
これについて著者は次のように述べています。

この作品はフィクションではありますが、SFではありません。
登場する最新の医学/法医学のプロセスやそのほかの科学技術、武器などは、
いずれも明日にも実現しようとしているものばかりです。
中には深い不安をかき立てるものもあるでしょう。
それでも、決して遠い現実ではないのです。



戦場で死体を回収するロボットや
ハエの姿に似せて飛び回る盗聴・盗撮ロボット
・・・まさにSFのようですが、実現可能とは!
核を初めとして、様々な科学技術は
兵器としての利用と平和利用が紙一重なんですね。
いえ、むしろ兵器として開発するからこそ、莫大な費用と労力を注ぎ込むのかもしれない。
少し前までには出てこなかったiPhoneやiPadが、
すでに登場人物たちには当たり前で欠くことのできないものになっています。
これが商品名で世界中に通用してしまうというのも、考えてみたらすごいですよね。
否応なく、私たちは様々な科学技術の進化の中を生きているわけです。


今作では、スカーペッタの身近な人に悲劇がふりそそぎます。
果たして彼女の部下がとんでもない殺人鬼だったのか!? 
真相は思いがけないところから現れます。
どこまでも平和に暮らせない彼女に同情を感じてしまいますが・・・。
マリーノとのぎくしゃくした感情はかなり元に戻ったようです。

スカーペッタとベントン、そして老犬ソックにしばしの安息を・・・!


「変死体 上・下」パトリシア・コーンウェル 講談社文庫
満足度★★★★☆


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