短編もあなどれない
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NHK WORLD-JAPANのラジオ番組で、
世界17言語に翻訳して朗読された小説のなかから、
人気作家8名の作品を収録。
好評シリーズ第二弾。
亡き妻のレシピ帳から在りし日の姿を想う老夫。
対照的な生き方をしている女友達からの贈り物。
大御所・赤川次郎×新鋭・田丸雅智のショートショート読み比べも愉しい一冊。
きっとお気に入りの作品が見つかるはず!
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ということで、シリーズ2冊目。
今回の執筆者は
赤川次郎、江國香織、角田光代、田丸雅智、
中島京子、原田マハ、森浩美、吉本ばなな(敬称略)
角田光代さん「旅する本」は、一冊の同じ本を、
年月を経て旅先(しかも海外)で再び、三たび手にするという物語。
同じ本なのに、読むたびに違う感慨が浮かんでくるその本。
本来本というのはそうしたものなのかもしれません。
中島京子さん「妻が椎茸だったころ」は、
仕事を定年退職した途端に妻を亡くした男性が、
料理を始めるようになる話ですが、
その亡くなった妻のレシピノートに
「自分が椎茸だったころ」という一文を見つけるのです。
実はこの2篇、以前それぞれの短編集で読んでいて、
中でも印象に残っていた作品でした。
この度この本を読んでも、やはりいちばん好きなのはこの2作。
短編って、あまり記憶に残らないと思っていたのですが、
こうしてみると短いながらも
しっかり胸の中に根を下ろす作品というのがあるものなんですね。
この2作はどこか不思議なようでいて、なんだかしっくりと納得できてしまう、
著者の感性が伝わるようなステキな作品なのです。
「1日10分のごほうび」赤川次郎他 双葉文庫
満足度★★★★☆
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