映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

私はいったい、何と闘っているのか

2021年12月21日 | 映画(わ行)

どうしても闘わなければいけませんか?

* * * * * * * * * * * *

スーパーのウメヤで働く、45歳、伊澤春男(安田顕)。
勤続25年にして万年主任。
信頼する店長の「春男はこの店の司令塔」という言葉にやる気をかき立てられて、
せっせと仕事に励みます。
いつか自分も店長になることを夢見て。
しかし彼のやる気や一生懸命さはいつも空回り。
結局結果は出ずに落ち込むようなことばかり・・・。

そんな彼のもう一つの生きがいは、家族。
妻・律子(小池栄子)と2人の娘と息子。
この4人は、こんなぱっとしない春男のことをよく分かっていて、
でも大好きのように見えます。

愛する家族とのかけがえのない生活。
そして、念願の店長への道。

そういうもののために、春男は闘っている・・・らしい?

目指す頂点がスーパーの店長というささやかなあたりが、
ごく庶民的でいいですよね。

気が利いて人望もありそうな春男は、お人好しでもあり、
それが結局彼の足を引っ張ることになります。
娘が連れてくる彼氏には、せいぜい威厳のあるところをみせたいと思うのですが、
やっぱりそれもうまくはいかない・・・。

さてところが、実はこの家族には私たちには明かされない「事情」があったのです。
そこが最後に明かされるところがミソですな。

結局彼は何と闘っていたのか。
いや、闘わずとも彼は始めからそれを持っていたのかも知れない。
そんな気がします。

いつも冷静に春男を見ていた、
スーパー店員・高井(ファーストサマーウイカ)がこんなことを言います。

「女性活躍とか、世間では言うけれど、私は別にえらくなりたいわけじゃない。
普通に仕事が出来ればいいんです」

私は思わず、「そう、ソレソレ」と深くうなずいてしまいました。
男性は社会の中でトップを目指そうとしますが、
女性はそうではないんじゃないかな・・・と思うことが多いです。
もちろん個人差はありますが、相対的に言って・・・。
女は群れのリーダーでなくても、自分の落ち着くポジションがあって平和にすごせるのなら、
それでOK。

女性の権利を主張する方ならこんなことを言うと、
女性はそう思わされている、というかな? 

でもだからといって、女性でトップの地位にいる人を否定するわけでは全然ないです。
適材適所というものもありますし。
むしろ女性の方が、偉くなりたいから、ではなくて、
私じゃなければこれが出来ないから、
という思いで前に立つ人が多いような気がします。

権力の座を争ってあれこれ画策するようなTVドラマや、
実際に「○○のドン」などと呼ばれる人をみたりすると、
なんでそんなに偉くなりたいのか、私には全然分からない・・・。
そしてその人の妻には絶対なりたくないと思う・・・。

ま、個人の感想です。

 

<サツゲキにて>

「私はいったい、何と闘っているのか」

2021年/日本/114分

原作:ツブヤキシロー

出演:安田顕、小池栄子、岡田結、ファーストサマーウイカ、SWAY、金子大地

 

奮闘度★★★☆☆(本当に、何と闘っていたのだろう)

家族愛度★★★★★

満足度★★★★☆

 



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