分かってはいるけれど、止められない
* * * * * * * * * * * *
40代チャーリーはボーイフレンドのアランを亡くして以来、
過食と引きこもりを続け、過度の肥満体となってしまい、
もはや自力では歩くこともできず、心不全の症状も悪化してきています。
チャーリーは、アランの妹で看護師のリズに助けられながら、
オンライン授業の講師として生計を立てています。
そしてまた、病院へ行くことはかたくなに拒否。
死期が近いことも悟っています。
そしてチャーリーは8年前にアランと暮らすために家庭を捨ててから疎遠になっていた
娘・エリーを呼び寄せますが、彼女は学校生活や家庭に問題を抱えていて・・・。
舞台はほとんど、外出もできないチャーリーの室内のみ。
ということで気づいたとおり、これはもともと舞台劇なんですね。
そこを訪ねてくる人々とのやりとりで、ストーリーが進んでいきます。
看護師のリズは亡くなったというアランの妹であったことは中盤に明かされて、
なるほど、それでこんなにもチャーリーのことを気にかけているのかと、納得。
そして、宗教活動のためにここを訪ねてくる青年トーマス。
彼が熱心に勧める宗教は、実はアランの信じていたものでもあった、
というところがミソです。
そして娘・エリーは、長く会っていなかった父の変貌した姿に驚き、嫌悪を隠せません。
でも心がささくれ立っている彼女にいま、必要なものがある・・・。
また、チャーリーのオンライン授業では、チャーリーは自分の画像を受講者に見せません。
この姿を見たら、受講者はあきれて逃げ出すだろうと思う。
・・・確かにそうですよね。
自力で立ち上がれないほどの肥満・・・。
なぜそこまでになってしまったかと言えば、やはり愛する人の死。
しかもそのことに自分が無関係とは思えない。
そしてその愛のために、捨てた家族のこと・・・。
喪失感。孤独感。罪悪感。
これは極めて長い期間を見据えた一種の「自殺」であるのかも。
見た目は怪物になってしまったチャーリーだけれども、心は愛情深く人を見つめている。
人間とは不思議な生き物であります・・・。
超肥満体に扮するブレンダン・フレイザー。
全く、言われないと誰だか分からない。
もちろん特殊メイクではありますが、すごかったです・・・。
<サツゲキにて>
「ザ・ホエール」
2022年/アメリカ/117分
監督:ダーレン・アロノフスキー
原作:サム・D・ハンター
出演:ブレンダン・フレイザー、セイディーシンク、ホン・チャウ、サマンサ・モートン、タイ・シンプキンス
肥満度★★★★★
満足度★★★☆☆
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます