ヒントは俳句?
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実直さが評判の弁護士が殺害された。
裁判の相手方が口走った脅しに似た方法で。
現場の壁にはペンキで乱暴に描かれた謎の数字“182”。
被害者が殺される直前に残した奇妙な言葉。
わたし、アンソニー・ホロヴィッツは、元刑事の探偵ホーソーンによって、
奇妙な事件の捜査に引きずりこまれて―。
絶賛を博した『メインテーマは殺人』に続く、驚嘆確実、完全無比の犯人当てミステリ。
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アンソニー・ホロヴィッツの探偵ホーソーンのシリーズ第2弾。
ホーソーンは元刑事。
陰険で自分のことは語ろうとしない、付き合いにくい人物。
ワトソン役、つまり事件の書記役で、
推理のミスリード役が著者自身、アンソニー・ホロヴィッツ。
本作の面白いところは、ホーソーンはもちろん架空の人物ですが、
アンソニー・ホロヴィッツについては
かなりリアルにその生活ぶりが描写されているというところ。
前作にもありましたが、彼は「刑事フォイル」の脚本に取り組んでいて、
時には撮影現場に立ち会ったりします。
私は本作の影響で「刑事フォイル」を見てすっかりファンになってしまったので、
特に興味深く感じられます。
さて、今回の事件はある弁護士が殺害された事件。
第一容疑者は、その弁護士と口論し
「あんたなんかワインの瓶で殴ってやる!」と豪語したという作家、アキラ・アンノ。
弁護士はその言葉通り、ワインの瓶で殴打された上、
その割れた破片で刺されるという亡くなり方をしたのでした。
が、実際その作家が犯人ならあまりにも単純過ぎますよね。
その後、弁護士が参加していた6年前のある洞窟探検での事故が
関係しているように描かれていきますが・・・。
本作に登場する警察はどうにも質が悪くて(!)、
この事件担当のカーラ・グランショー警部は、
ホーソーンの捜査内容を逐一連絡するように、とホロヴィッツを脅します。
手柄を自分のものにしようとする浅ましさ。
ホロヴィッツに万引きの濡れ衣を着せたりもする最悪なヤツなのですが、
ホーソーンにうまくあしらわれてしまうあたりが、小気味イイ!!
そして、ホーソーンの謎の過去はまだまだ秘められたままです。
このあたりも、とても興味深いですね。
次作が待たれます。
ところで、アキラ・アンノはその名でわかるとおり、日系の人物で、
俳句の本も出しています。
純文学系の作家で、ホロヴィッツには小難しくてよくわからないと思われていて、
そして重大な秘密(犯人じゃないですよ!)も持っているのです。
この人の俳句
「君が息 耳にぞ告ぐる 裁きは死」
というのが、本作の題名に引用されているわけです。
俳句・・・、原文だとどうなっているのか、ちょっと興味がありますね。
「その裁きは死」アンソニー・ホロヴィッツ 山田蘭訳 創元推理文庫
満足度★★★★☆
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