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「自分を取り戻す」妻と「息子との絆を取り戻す」夫
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結婚八年目のテッド(ダスティン・ホフマン)とジョアンナ(メリル・ストリープ)。
ある日突然、『自分を取りもどすため』ジョアンナが家出してしまいます。
夫テッドは、取り残された7歳の息子の面倒を見なければならなくなり、
ハードな仕事と育児に悪戦苦闘。
30年前の公開時、男の子育て奮闘記として話題になった一作ですね。
ジョアンナはいいます。
「私はいつも誰かの娘であり、妻であり、母だった。
誰のものでもない、自分を見つけたかった。」
毎日仕事に明け暮れている男性なら、
「何を言ってるんだ」といいたくなるかもしれません。
「働かないで家にいられるんなら十分しあわせじゃないか」、と。
今、女性がこのように、自己実現を図ろうとするのは、さほど珍しいことではありません。
でも、30年前の当時、こんな理由で家出をする女性・・・というのは、
ショッキングだったかもしれません。
当時のウーマンリブですね。
でも、テッドは始めカッカと来ていましたが、
次第に、こんなジョアンナの気持ちを理解していくんですね。
そういうところは、なかなかいい。
しかし、話はもっと大変な局面に突入していきます。
離婚したこの二人の息子ビリーの親権をどうするか。
互いに譲らぬ二人はとうとう法廷の場で争うことになります。
いつの時代でも、こんな時一番の被害者は子供です。
ビリーは「僕が悪い子だからママは出て行ったの?」とテッドに聞きます。
ほろりとさせられます。
こんな時、テッドはごまかしたりせずに、
「それはパパがママを幸せにできなかったから、パパのせいなんだよ・・・」。
子供にもわかるように、ごまかさずにきちんと話をすること。
これは大切ですね。
こういうことによって、始め全くギクシャクしていたこの父子が、
しっかりと絆を深めてゆくのです。
ジョアンナが出て行った初めての朝。
テッドがフレンチトーストを作ろうとするシーンがあります。
マグカップにタマゴを割って、パンを浸そうにも入らない。
ミルクは?
フライパンに入れれば焦げるし、しまいにひっくり返して散々。
・・・これが、ラスト近くにまた朝のシーンがあるのです。
正しいフレンチトーストが、息子との共同作業であっという間に出来上がり。
これぞ進歩というものです。
私たちは、テッドの成長に感嘆するのです。
しかし考えてみれば、父子家庭よりは、やはり母子家庭が圧倒的に多くて、
こんなことは当たり前に行われているんですけどね。
男性がそれをやると「すごい」と思うようでは、まだまだですね。
・・・などといっている私は、それでもやっぱり考えが古い。
昨今の若い男性は、割と家事も育児も共同でやっているみたいですね。
少なくとも共働きなら、それが当然ですね。
今ならジョアンナも、家出までしなくてもよかったんだろうなあ・・・。
1979年/アメリカ/95分
監督・脚本:ロバート・ベントン
出演:ダスティン・ホフマン、メリル・ストリープ、ジャスティン・ヘンリー、ジョージ・コー
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