映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

リチャード・ジュエル

2020年01月30日 | クリント・イーストウッド

怪しいというだけで犯人?

* * * * * * * * * * * *


またまた登場しました、ぴょこぴょこコンビ。
たまたまなんだけど、出番が重なりました。

さて、こちらはクリント・イーストウッド監督作品。
 残念ながらご本人は出演されていません。
1996年、アトランタオリンピックの時にあった実話なんだね。
はい、96年、オリンピック開催中のアトランタ。
 警備員のリチャード・ジュエル(ポール・ウォーター・ハウザー)が、
 公園で行われている音楽イベントで、不審なバッグを発見します。
 彼は付近の人々を避難させましたが、全員退去とまではならず、
 突然爆発したそのパイプ爆弾で、けが人も出てしまいました。
 それでも、多くの人の命を救った彼は英雄視されます。
 ところが、FBIがジュエルを第一容疑者として捜査を始めます。
 そのことを知った現地の新聞記者がスクープとして新聞に掲載。
 メディアは一斉にジュエルを犯人扱いし、非難し始め、
 ジュエルは人格をおとしめられてしまいます。
 そんなところに旧知の弁護士・ブライアント(サム・ロックウェル)が立ち上がり・・・。

そもそも特にジュエルを犯人とする物証もないのに、
 まずジュエルが怪しい、と見られてしまうのだよね。
 恐ろしい・・・。
しかも、FBIはあの手この手で、無理矢理証拠をねつ造しかねない危うさが見えて・・・
 実にハラハラさせられるよね。
 でもジュエルが怪しいと思われるのは、無理もないところがあるわけね。
うん、まあ見たようにでぶっちょで、いい年して結婚もしておらず、母親の家に同居してる。
 職も正規職員ではなくて臨時雇い・・・。
それだけなら近頃たくさんいそうだけど・・・。
彼自身は警官に憧れていて、すごく正義感は強いんだよね。
そう、でもそれが強すぎてあちこちで問題を起こしていた。
 自分は正義を実行する人物という思い込みが強すぎて、
 人と接するのも上から目線で強引。
 大学の警備員をしていたときも、そんな感じで学生ともめ事を起こしてクビになっている。
・・・というところだけを見たら、私だってこの人怪しい、と思ってしまうかも。


弁護士ブライアンは以前からジュエルを知っていて、
 まあ態度はでかいけれど悪いヤツじゃないと知っていたので、
 弁護を引き受ける気になったわけ。
 実際、犯人ではあり得ない確証を得てもいたのだけれど・・・。
そこね、FBIも本当はそれに気づいていたのではないの?
そこが怖いところなんだよ。
 そんなことムシして、あくまでもジュエル犯人説を押し通そうとする・・・。
それにしても、仮に逮捕されて起訴されたとしても、
 裁判で有罪判決が出ない限りはまだ犯罪者ではないんだよね。
 この事件に限らず、逮捕されること=犯人という世間の思い込みが強すぎる気がする。
クリント・イーストウッド監督らしい、「名もなき英雄」の物語。
 そして私たちも冷静に自分で物事を考えなければ・・・ということでもあります。

<シネマフロンティアにて>
「リチャード・ジュエル」
2019年/アメリカ/131分
監督:クリント・イーストウッド
出演:ポール・ウォルター・ハウザー、サム・ロックウェル、キャシー・ベイツ、ジョン・ハム

権力の持つ恐ろしさ★★★★★
満足度★★★★☆

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿