映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

望み

2021年10月31日 | 映画(な行)

父の思い、母の思い

* * * * * * * * * * * *

石川家は、一級建築士の一登(堤真一)、
校正者の妻・貴代美(石田ゆり子)、
長男・高校生の規士(ただし)(岡田健史)と
その妹・中学生の雅(清原果耶)の4人暮らし。
一登の設計したスタイリッシュな一軒家に住む、
ちょっとうらやましいくらいの幸せな家族。

ところが、サッカー一筋だった規士が足の怪我で
サッカーを出来なくなったときから翳りが見え始めます。
目標を見失った規士は、遊び仲間と過ごすことが多くなり、
無断外泊も多くなってきます。
そしてある日、家を出たまま帰らず、連絡も途絶えてしまう。

やがて、規士の同級生の殺害死体が見つかり、
警察によると規士が事件に関与した可能性が高いという。
関係すると思われる行方不明の少年は3人。
犯人とみられる少年は2人。
そしてもう1人は被害者となっているらしい、とのこと。

果たして規士は犯人なのか、それとも被害者なのか。

まだ事実関係もはっきりしないうちに、世間はすっかり規士を犯人扱い。
テレビなどでは実名を明かさなくても、
SNSなどであっという間に規士のこと、石川家のことが明かされ、
家族はいわれのない誹謗中傷に晒されることになってしまいます。
このままでは一登の仕事も雅の進学もダメになるかも知れない・・・。

こんな時、父である一登は思う。
息子が犯罪者であるはずがない。
彼は正しい判断をするはずだ・・・。
しかしそう思うことは息子が被害者の方で、
すなわちおそらくもう命はないと思うことなのです。
そしてまた打算的ではあるかもしれないけれど、
少なくとも息子が被害者であれば、我が家は今後もなんとか維持出来るだろう・・・。

一方、母・貴代美は思うのです。
たとえ犯罪者であろうとも、とにかく生きて戻ってきて欲しい。
生きてさえいれば、どんな困難も乗り越えられる、と。

 

父親と母親の思いが交差。
一体どんな結末が待ち受けているのか、息を潜めて待つ感じです。

 

それにしても、こうして家族が追い詰められていく様は、なんとも苦しい・・・。
そもそも家族は家族。
本人とは別なのに、未だにこうしてすべて一絡げというのに私は憤りを感じてしまいます。

 

<Amazon prime videoにて>

「望み」

2020年/日本/108分

原作:雫井脩介

脚本:奥寺佐渡子

出演:堤真一、石田ゆり子、岡田健史、清原果耶、松田翔太、竜雷太、渡辺哲、三浦貴大

 

息苦しさ★★★★★

満足度★★★★☆

 



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