映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

プライベート・ウォー

2021年02月17日 | 映画(は行)

外部の目でしか伝わらないこと

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レバノン内戦や湾岸戦争など、戦地を取材した実在の女性記者メリー・コルビンの半生を描きます。

イギリス、サンデータイムズ紙の戦争特派員、
アメリカ人ジャーナリストのメリー・コルビン(ロザムンド・パイク)。

2001年スリランカ内戦の取材中、銃撃戦に巻き込まれ、左目を失明します。
以後彼女は黒い眼帯を身につけ、再び取材に当たる。
人々の関心を世界の紛争地域に向けたい・・・
その一心で、時にはPTSDに苛まれながらも、彼女は活動を続けます。

そして2012年、シリアの過酷な状況下の市民の現状を伝えるため、
砲弾の音が鳴り響く中で、世界ヘ向けてのライブ中継を行い・・・。

コルビンは特にどこに味方するというような政治的意図は持っていません。
ただひたすらに、戦火の中、
右往左往して生き延びようとしている一介の庶民の姿を世界に伝えたい、
そういう思いで活動していたようです。

時には他の記者たちが尻込みする危険地帯へも足を踏み入れる。
そんな中で、銃撃に巻き込まれ、失明。
普通ならそこで怖くなって、紛争地帯へ行くのをやめそうに思うのですが、
しかし彼女はめげない。
自分しか本当のことは伝えられない、そんな強い自負があるのでしょう。

実際、戦争や内紛で行われている非人道的な多くの出来事は、
その場に踏み込んだ映像や実体験で語られてこそ、
大きなインパクトがあります。
そうした外部の目でしか、世界にはその様子が伝わらない。
見なかったこと、聞かなかったこと、知らないことは、ないことと同じ。

でも理不尽なことは実際に起こっていて、そこにあるのです。
そのことを私たちに示してくれる、このようなジャーナリストたち。
まさに意義のある仕事、頭が下がります。
でも実際あまりにも危険。
命がけ。
誰にでもできることではありませんね。

<WOWOW視聴にて>

「プライベート・ウォー」

2019年/イギリス・アメリカ/110分

監督:マシュー・ハイネマン

出演:ロザムンド・パイク、ジェイミー・ドーナン、トム・ホランダー、スタンリー・トゥッチ

過酷度★★★★☆

満足度★★★.5

 



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