絵画の価値って?
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本作は、「映画.com特別オンライン上映会(第5回)」という企画を初めて利用し、
チケットを購入してオンラインで視聴しました。
料金1200円ということで、劇場でのシルバー料金と同じ。
今、映画館にもなかなか行きづらいので、こういう企画はとてもありがたい。
ただ当企画はドキュメンタリー作品が多くて、やや魅力に欠けるといいますか・・・、
もっと通常の作品も乗せてくれるといいのになあ・・・とは思っております。
北海道のコロナ感染者数は少し落ち着いてきていて、
映画館に行っても問題はなさそうなのですが、
実のところ、冬の朝にわざわざ街まで出かける気力がすっかり衰えてしまい、
春までは映画館通いの再開は難しいかな・・・?
と思っている次第であります。
さて、本作。
オランダの巨匠レンブラントの絵画を巡る愛と欲を織り交ぜたドキュメンタリー。
主に3つのシーンが交互に語られています。
一つは、オランダ貴族の家に生まれた若き画商、ヤン・シックス。
レンブラントが描いた肖像画もある家で生まれ育ったという貴公子。
そんな彼が、競売にかけられた肖像画を
レンブラント作品と直感し、安値で落札します。
そしてその真贋を証明しようとして・・・。
もう一つは、富豪ロスチャイルド家所有のレンブラント絵画2点が売りに出されることになり、
フランスのルーブル美術館と、オランダのアムスレルダム国立美術館が獲得に動き出します。
売りに出されたのは、相続税のため・・・というなんとも世知辛い理由。
そしてあまりにも高額なその絵画の購入は、
美術館同士からさらには政治家も巻き込み、国家間の対立まで呼び起こす・・・。
そして3つめはスコットランド古城に古くから所蔵される一点の絵画。
当主は、痛くこの絵を気に入っていて、
絵を飾る場所を他に移したいと思う。
専門家にも相談して、絵の引っ越しをすることに。
レンブラントの絵画の美しさ、描写の巧みさ、
芸術作品としての価値はすばらしいものですね、確かに。
ところがこれに金銭的価値が絡むと一気に話はゆがんでいく・・・。
物品としては古いキャンバスに古い絵の具が乗っているだけのものなのに。
絵画2点が200億円!?
もう、想像を超えています。
レンブラントがもしこれを知ったら、さぞかしたまげることでしょう。
レンブラントには弟子も多くいたので、似たような絵はとても多いのだそうです。
また、おそらく贋作として描かれたものもあるでしょう。
そんな中から、本物を区別するというのも大変そう・・・。
「嘘八百」のときにも書きましたが、
私はやはり世間的な価値ではなくて、自分が気に入ったものが良いもの、
と思いたいです・・・。
三つ目のエピソード、家に代々伝わる絵を大事に愛でること、
これがいちばんまともな絵画の愛し方のような気はしますが、
でも、個人所有の絵は一般の人が見ることができないというのが残念ですね・・・。
やはり美術館にあるのがいいなあ・・・。
でも、ルーブル美術館に展示された肖像画の人物は、
次から次へと押し寄せる鑑賞客に驚いているように見えました・・・(?)
絵のためを思うと、旧家の一室にひっそりと飾られている方が幸せそうです。
<映画.com特別オンライン上映会にて>
「レンブラントは誰の手に」
2019年/オランダ/101分
監督・脚本:ウケ・ホーヘンダイク
出演:ヤン・シックス、エリック・ド・ロスチャイルド、
ターコ・デイビッツ、エルンスト・ファン・デ・ウェテリンク
現実のあさましさ★★★★★
満足度★★★★☆
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