映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

サンドラの週末

2017年01月14日 | 映画(さ行)
お金と人情を秤にかけりゃ・・・



* * * * * * * * * *

体調不良で仕事を休職していたサンドラ(マリオン・コティヤール)が、
ようやく復職のめどが立ったところからストーリーは始まります。
ところが、会社は職員にボーナスを支給するために一人を解雇しなければならず、
そのためにサンドラを解雇すると通告してきたのです。
二人の子供がいて、夫と共に働いていますが、やっとギリギリの生活です。
ボーナスを取るか、サンドラを取るか、
月曜に職員の投票をすることになり、
その週末、サンドラは同僚16人を訪ね、
自分を復職させてほしいと頼むことになりましたが・・・。



う~ん、お金と人情を秤にかける・・・。
そもそもそんな決め方をしようというのが無茶苦茶ではありますが・・・切実です。
サンドラはもともと心が弱っていました。
だから「自分のためにボーナスを諦めてほしい」などと頼むことが、
非常識で恥知らずに思えて、全く気が進まないのです。
けれども、親しい友人と夫の強力な後押しで、重い腰を上げます。
しかしやはり、みなやりくりが大変で、ボーナスを頼みの綱としている。
当然きっぱりとことわる人もいるし、
サンドラが現れたことで親子喧嘩や夫婦喧嘩を目の前で始める人もいて、
サンドラはいたたまれなくなってしまいます。
何度も心が折れそうになりながらノルマを果たしていきますが、
でも、彼女に賛同してくれる人もいたのです!!
人に勇気を与えられるのはやはり人の心なんだなあ・・・。
一人ではとても立ち向かえなかったでしょう。



結果は、ぜひ見ていただくとして、
この苦行を果たしぬいたサンドラはしっかりと強くなりました。
ヨロヨロとおぼつかない足取りだったサンドラが、しっかり自分の力で歩み始める。
それもまた、周りの人々の「力」のおかげです。
自分は一人ではない。
支えてくれる人達がいる。
そう感じることが生きる力につながる。
サンドラの夫は、そんなことがわかっていたから、
あえて彼女を叱咤激励してやり遂げさせたのかなあ・・・という風にも思えてきます。
ステキな作品でした。



私なら、本人には「はい、わかった。」と言っておいて、
実際はボーナスに投票しちゃったりするかも・・・。
本作中では、そんなケシカラン人はいなかったですね・・・。

サンドラの週末 [DVD]
マリオン・コティヤール,ファブリツィオ・ロンジォーネ,オリヴィエ・グルメ
KADOKAWA / 角川書店


「サンドラの週末」
2014年/ベルギー・フランス・イタリア/95分
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
出演:マリオン・コティヤール、ファブリツィオ・ロンジョーネ、オリビエ・グルメ、モルガン・マリンヌ、ピリ・グロワーヌ
究極の選択度★★★★★
満足度★★★★☆


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