意外とライトなプロレタリア
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小林多喜二によるプロレタリア文学の金字塔「蟹工船」の映画化です。
えーと、私は西島秀俊さんはてっきり労働者の先導役かと思ったのだけれど・・・、
これが意外にも、蟹工船の冷酷無比な監督。
ほほう、興味をそそりますねえー。
本作はとにかく重苦しそうなので、公開時には見ていなくて、
このたび、まあ、西島さんに釣られてみたわけだけど、意外とライト感覚だったね。
そうだね。結構ユーモラスで、現代的。
舞台はひたすら1隻の蟹工船内部。
劣悪な環境に、重労働、低賃金。工員たちは絶望感に囚われている。
そんな仲間に語りかけるのは、新庄(松田龍平)。
「こんな地獄のような今の状況には見切りをつけて、みんなで自決しよう。
そして幸せな来世に生まれ変わろう・・・。」
のせられたた皆とともに首吊りを図るけれど失敗。
「もう少しで死ぬところだった」なんて言ってたね・・・。
また、ある者は、小舟で漁に出ているうちに母船とはぐれ、
遭難しかけたところをロシア船に救助される。
その様子なども・・・。
確かに軽いです。
だけど、今「蟹工船」を描こうとすれば、これでいいんじゃないかな、という気がする。
やたら重苦しいだけでは若い人はそっぽを向きますよ。
いや若い人だけじゃなく、私もあんまり見たくない・・・。
ロシア船で感化された新庄は、蟹工船に戻り、
ここで今度こそシリアスな演説を始めるね。
うん、松田龍平さん、カッコ良かった。
今作は特別にイデオロギーを強調しているわけじゃないよね。
そうそう、「自分の有りたい未来を考えろ、そしてそれに向かって行動しろ。」
そういうことなんだよね。
これこそが、今表現しうる「蟹工船」なんだと思う。
小林多喜二氏は怒るかも知れないけど・・・。
ホンモノを知りたい方は1953年版の旧作を見ればよいのです。
さて、その西島さん演じる監督の浅川。
薄汚れてるけれどいつも白いロングのコートみたいのを羽織っていて、ちょっとナチス風の趣もあるね。
しかも頬に傷、足を少し引きずっている。
う~む、こいつは一体何者?って感じ。
どういう過去を設定しているのか、興味はそそられますが・・・、
もちろん作中そんな説明は有りませぬ。
たぶん、育ちはいいのだけれど、不幸な生い立ちとか・・・。
いやいや、実はやっぱり極貧で、
でも頭の良さだけを武器にしてここまでのし上がったとか・・・。
いや、ここまでと言ってもたかが漁船の現場監督だけどね。
なんだか、工員たちは鎖に繋がれていないけど、黒人奴隷と殆ど変わらないという気がしたけど。
であれば浅川は、冷酷で貪欲な農場主か。
ははあ・・・ここまで現代風にアレンジするなら、タランティーノ監督でもありってことだね。
それだと、船内は阿鼻叫喚の死体だらけになるね・・・。
うわー、それ、怖いけど見てみたい!
ぜひそのときも、浅川は西島秀俊さんでお願いします!!
それから、カニだよね、カニ。
グルメ番組じゃないから、ことさらカニを美味しそうには描いてないけどさ・・・
こんな大量のカニ、思い切り頬張れたらなあ・・・。
当時は冷凍技術もないので、水揚げしたカニをすぐに茹でて、船内で缶詰にしてたというわけだね。
まあ、それにしても巷では高価だったのかもしれない。
たぶんとんでもなく安い賃金だったろうし・・・、
ごく一部の金持ちが、「国家」を盾に、いいようにうまい汁をすすっていた・・・という。
これこそ、現在でも十分に通じる話なのでした。
「蟹工船」
2009年/日本
監督:SABU
原作:小林多喜二
出演:松田龍平、西島秀俊、高良健吾、新井浩文、柄本時生
ユーモア度★★★★☆
西島秀俊魅力度★★★★☆
満足度★★★☆☆
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小林多喜二によるプロレタリア文学の金字塔「蟹工船」の映画化です。
えーと、私は西島秀俊さんはてっきり労働者の先導役かと思ったのだけれど・・・、
これが意外にも、蟹工船の冷酷無比な監督。
ほほう、興味をそそりますねえー。
本作はとにかく重苦しそうなので、公開時には見ていなくて、
このたび、まあ、西島さんに釣られてみたわけだけど、意外とライト感覚だったね。
そうだね。結構ユーモラスで、現代的。
舞台はひたすら1隻の蟹工船内部。
劣悪な環境に、重労働、低賃金。工員たちは絶望感に囚われている。
そんな仲間に語りかけるのは、新庄(松田龍平)。
「こんな地獄のような今の状況には見切りをつけて、みんなで自決しよう。
そして幸せな来世に生まれ変わろう・・・。」
のせられたた皆とともに首吊りを図るけれど失敗。
「もう少しで死ぬところだった」なんて言ってたね・・・。
また、ある者は、小舟で漁に出ているうちに母船とはぐれ、
遭難しかけたところをロシア船に救助される。
その様子なども・・・。
確かに軽いです。
だけど、今「蟹工船」を描こうとすれば、これでいいんじゃないかな、という気がする。
やたら重苦しいだけでは若い人はそっぽを向きますよ。
いや若い人だけじゃなく、私もあんまり見たくない・・・。
ロシア船で感化された新庄は、蟹工船に戻り、
ここで今度こそシリアスな演説を始めるね。
うん、松田龍平さん、カッコ良かった。
今作は特別にイデオロギーを強調しているわけじゃないよね。
そうそう、「自分の有りたい未来を考えろ、そしてそれに向かって行動しろ。」
そういうことなんだよね。
これこそが、今表現しうる「蟹工船」なんだと思う。
小林多喜二氏は怒るかも知れないけど・・・。
ホンモノを知りたい方は1953年版の旧作を見ればよいのです。
さて、その西島さん演じる監督の浅川。
薄汚れてるけれどいつも白いロングのコートみたいのを羽織っていて、ちょっとナチス風の趣もあるね。
しかも頬に傷、足を少し引きずっている。
う~む、こいつは一体何者?って感じ。
どういう過去を設定しているのか、興味はそそられますが・・・、
もちろん作中そんな説明は有りませぬ。
たぶん、育ちはいいのだけれど、不幸な生い立ちとか・・・。
いやいや、実はやっぱり極貧で、
でも頭の良さだけを武器にしてここまでのし上がったとか・・・。
いや、ここまでと言ってもたかが漁船の現場監督だけどね。
なんだか、工員たちは鎖に繋がれていないけど、黒人奴隷と殆ど変わらないという気がしたけど。
であれば浅川は、冷酷で貪欲な農場主か。
ははあ・・・ここまで現代風にアレンジするなら、タランティーノ監督でもありってことだね。
それだと、船内は阿鼻叫喚の死体だらけになるね・・・。
うわー、それ、怖いけど見てみたい!
ぜひそのときも、浅川は西島秀俊さんでお願いします!!
それから、カニだよね、カニ。
グルメ番組じゃないから、ことさらカニを美味しそうには描いてないけどさ・・・
こんな大量のカニ、思い切り頬張れたらなあ・・・。
当時は冷凍技術もないので、水揚げしたカニをすぐに茹でて、船内で缶詰にしてたというわけだね。
まあ、それにしても巷では高価だったのかもしれない。
たぶんとんでもなく安い賃金だったろうし・・・、
ごく一部の金持ちが、「国家」を盾に、いいようにうまい汁をすすっていた・・・という。
これこそ、現在でも十分に通じる話なのでした。
「蟹工船」
2009年/日本
監督:SABU
原作:小林多喜二
出演:松田龍平、西島秀俊、高良健吾、新井浩文、柄本時生
ユーモア度★★★★☆
西島秀俊魅力度★★★★☆
満足度★★★☆☆
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