あくまでも、専守防衛
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待ってました、「空母いぶき」!
ジャンル的にはちょっと守備範囲外のような気がするけど・・・
そうは言っても西島秀俊さん出演なので、見ないわけには行きません。
ストーリーは・・・
日本の最南端沖で国籍不明の軍事勢力が領土の一部を占拠。
海上保安庁の隊員を拘束してしまいます。
そこで日本政府は初の航空機搭載型護衛艦「いぶき」を中心とした護衛艦群を現場へ派遣。
するといきなり敵潜水艦からミサイル攻撃を受けてしまう。
その事により政府は「防衛出動」を発令。
果たして自衛隊はどのように闘うのか・・・。
これ、派手な戦闘シーンを期待して見た方は、ちょっと期待はずれなのではないかな。
そうなんだよね。
本作のテーマは、「専守防衛」を旨とする自衛隊が、
もし実際に敵の攻撃があった場合に何ができるのか、というシミュレーションなんだよね。
まずは相手が先に攻撃してこなければ何もできない。
そんなわけだからどうしてもさほど派手な攻撃シーンは出てこない。
そして常ならば、出撃シーンなどは、艦長の悲壮な“絶叫”がお約束のような気がするのだけれど、
西島秀俊さんの艦長は、常に沈着冷静。
それというのも、すぐ頭に血が上って攻撃しまくるような人では、
「専守防衛」を貫くことができないからなんだよね。
ミサイルには迎撃ミサイル。
でもこちらで対処できないくらいの艦隊が現れたときにはどうする・・・?
それはもちろん、こちらからもミサイル攻撃すればよいし、
現にその装備もあるのだけれど・・・
それで相手の船を撃沈してしまった場合の死者は数百人にもなる。
「戦闘と戦争は違う」、と秋津はいうね。
一般人をも巻き込むのが「戦争」だと。
だから彼は今、戦闘状態にはあるけれど決して「戦争」にしてはならない、と思う。
そのため極力相手の被害も最小限に・・・。
ということで、秋津の立てた作戦になるほど~、と思ったよ。
というのも、今読んでいる「坂の上の雲」の日露戦争の海戦のあたりの解説で、
魚雷が当たれば船はあっという間に沈むけれど、
砲弾は当たっても船は滅多には沈まない、とあったもので・・・。
ふむふむ。どこでどんな知識が役に立つかわからないね。
それから本作は実に豪華キャストが目白押しだったね。
いぶき艦長の秋津(西島秀俊)と副長新波(佐々木蔵之介)は考え方が逆のようで、
でも根っこのところは同じ。
こんな設定に、この二人の配役もぴったりでした。
秋津氏は悲壮な場面でも口元がどこか微笑んでいるようにも見える。
まるで菩薩のようでありました・・・。
佐藤浩市さんの総理大臣もよかった。
若干彼のスピーチが物議を醸したらしのだけれど・・・。
それは考えすぎだよね。
作品を見たら自衛隊へ向けた思想は理想的な総理大臣で、
逆立ちしたって現実の総理大臣がかなうはずもなし。
いちいちスピーチで皮肉ったりなんかしないよ。あほらし。
一応ヒロイン的存在なのが本田翼さん。
たまたま取材でいぶきに乗っていたネットニュースの新米記者で、
思いがけずこの戦闘が始まってしまった、という設定。
秋津との対面シーンはほんのわずか。
でも、こういうときの報道のあり方がすごく難しいとは実感させられるところです。
この戦闘が24時間の出来事ということで、あるコンビニの24時間も挿入して描かれるのだけれど
ここの店長(中井貴一)が、何も気づかず、ひたすらずっと
クリスマスのサンタの長靴にお菓子を詰め続けていたというのが面白いエピソードでした。
ねえ、「自衛隊」としてこんなことができるのなら、
あえて憲法を改正しなくてもいいような気がするなあ・・・。
「戦闘」はするけれど、決して「戦争」をしないということでね・・・。
でもさ、実際は日本に空母はないし、秋津さんもいないんだよ。
あ~あ。
話はぜんぜん変わるけれど、今、西島秀俊さんといえば「きのう何食べた?」だよね。
そうなのよ~。面白いよねえ。
ごくごく普通の生活の物語で、これが男女のカップルなら全然面白くないと思う。
ゲイのカップル、というだけでどうしてこんなに面白いのでしょ。
西島さんはゲイの役でもすてきだわあ・・・。
でもそれ以上に内野聖陽さんがこれまでのイメージを突き破る、素晴らしい表現をしてるよねえ・・・。
これまでいかにも偉そうな役が多かったものね・・・。
二人が楽しそうに食事してるシーンがもう、最高!
それと吹替版の「名探偵ピカチュウ」のピカチュウの声が西島秀俊さんなんだな。
それなんだよ。声だけでも楽しんでみたいじゃない。
3D・もふもふのピカチュウもぜひ見てみたいし。
でもねえ・・・、おばちゃん一人で見るのはあまりにも敷居が高いわあ・・・。
誰か孫をレンタルして・・・。
<シネマフロンティアにて>
「空母いぶき」
2019年/日本/134分
監督:若松節朗
原作:かわぐちかいじ
出演:西島秀俊、佐々木蔵之介、本田翼、佐藤浩市、市原隼人、戸次重幸、高嶋政宏、堂珍嘉邦、中井貴一
シミュレーション度★★★★☆
満足度★★★.5
西島秀俊の魅力度★★★★☆
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