映画と本の『たんぽぽ館』

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「ダーティ・ワーク」 絲山秋子

2010年07月18日 | 本(その他)
ストイックでハードボイルド

ダーティ・ワーク (集英社文庫) (集英社文庫 い 66-1)
絲山 秋子
集英社


          * * * * * * * * 

私には初めての作家さんです。
この物語は、7つの短編からなっています。
一見別々の話のように思えたのですが、
次第にそれぞれの登場人物のつながりが見え始め、
深みと広がりを増していきます。


一番始めに登場するのはギタリストの熊井。
病院嫌いの熊井は、始め私はてっきり男性だと思ったら、実は女性でした。
女性というか中性っぽいですね。
でも、この感じ好きです。
そんな彼女は以前一緒にバンドを組んでいたけれどもう何年もあっていない
TTという人物に思いを寄せている。

後の方の話で今度は遠井という人物が登場するのですが、
この人こそ、熊井の言うTTであることが解ります。
その遠井はもう3ヶ月も会社に行っていないという引きこもり傾向・・・。
この2人が、ある人とのつながりで再会することになり・・・。


なんだかこのように書くとありきたりの恋愛小説みたいになってしまいますね。
そういうべたべたした甘さはないのです。
この文庫の解説者佐々木敦氏は言っています。

構成も文体も、あらゆる面で、何気ないようで毅然とした、
ストイックでハードボイルドな佇まいを守っている。


なるほど、うまいこと言うなあ、と感心しますが、
ストイックでハードボイルド。
まさにその感じです。


この本、それほどのボリュームではないのですが、
私は毎夜睡魔と闘いながら読んだおかげで
読了まで何日もかかってしまいました。
それで、どうも途切れ途切れで、
当然気づくべき人物のつながりが良く解らなくなってしまった。

この本はもっと一気に読むべきです。
ということで個人的に
満足度★★★☆☆
になってしまったのですが、
本来、もっといい話なんじゃないかと、自分の感覚を疑っております・・・。
失礼しました・・・・・



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